A.歌のレッスンではだいぶ抽象的な表現や、代替的な言い方で指導されることがあると思います。たとえば、「おなかに息を入れて」これはどういうことかというと、肺にしか息は入らないので、本当は息が入るのは胸のあたりだけなのですが、横隔膜をしっかり下げることでおなかが外側に押し出されいわゆる腹式呼吸の状態が作り出されます。ゆったりとリラックスした呼吸を促すために、「おなかに息を入れて」などと指導されるのです。
しかし抽象的な表現のみでやっていくと、最初はイメージがつきやすいかもしれませんが、本格的に発声練習をしていくうちに、疑問がわいてくることと思います。いったい自分が膨らませているのは何なのかと。
そのために、自分の横隔膜はどこにあるのか、肋骨はどこからどこまであり、肺の一番上はどこで一番下はどこなのか、といったことを知っていくこと、これをボディーマッピングと呼びます。まるで自分の体の地図を描き探っていくかのような行動です。本格的に、発声を極めたい人は、この概念を会得していかれるとよいと思います。([E:#x266F]β)