A.専門的に声や喉そのものに詳しくてもアンバランスで本質がみられないと、あまりよいアドバイスはできません。私はいろんな分野で経験もし、研究や執筆もしてきました。日本人は、マイスター好みで、何でもやるような人は低くみられます。しかし、本当のマイスターは、大体、何でも屋です。専門分野以外にいくつかの専門をもち、分野を超えた幅広い人脈をもっています。それでこそ、新しいものの見方や指導法がみえてくるものです。
第一線でいっぱしのことをやっていくと学ぶことは、自分の分野でなく、他のもと進んだ分野、すぐれた分野、すぐれた人材のいる分野になるのです。
木を見て森を見ない、見られない人が増えていることは、残念なことです。また、木しか見えない人は、森を見ている人を批判、非難する。自分について、やることがなく時間や暇があるからです。
どんなに喉の知識をもち、そこだけを扱えるようになったところで、全体、全身全霊をみなくては声の問題は解決しません。一時、部分的に直して完結させたところで、再度、同じことが起きるからです。ポリープをとった人に、また新しいポリープができるのも、ポリープはとっても、その原因の方を突きとめて直していないからです。(♯)