A.いい声・きれいな声・魅力的な声、力強い声、優しい声、いろいろな声がありますが、流行りの声、というのもあります。最近のポップスの男性歌手は、ずっと高音が流行ってきた影響を受けて、細く高い声がとても多い気がします。さらに、初音ミクなどの機械的に作られた音声にも影響されてか、本来の歌手の声を、機械的に装飾した声も、かなり当たり前のように、流行っています。
3~40年前は、よく「低音の魅力」という言葉を、流行歌の男性歌手のキャッチフレーズとして、目にしていたように記憶していますが、今はまったくといっていいほど、「低音の魅力」を売りにしている歌手は、見かけないようです。昔は、音楽大学に在学中や卒業した声楽家が、流行歌を録音することも少なくなかったことも、関係しているのかもしれません。ある程度しっかりと磨かれた低音が、時代の要請にもマッチしたのでしょうか。あるいは、民謡や、能や歌舞伎などの邦楽が、喉をしっかりと使って表現する声なのに比べて、どちらかというと喉をうまく脱力して、何の無理もなさそうに出す低音が、とても新鮮で、魅力的に感じられたのかもしれません。(♭Ξ)