A.発声の基本の段階として喉の奥をあくびの要領で開けましょうということを常々言われると思います。私自身も、初歩のころ、いつも先生に言われていて、開けているのに、なんでいつも同じことを言われているのだろうと思っていましたが、実は最初の何回かのレッスンでやったくらいでは、全然開きがたりないのです。
まずは、縦つまり上下に喉の奥を開けましょう。上というのはつまり「口蓋」のことです。上あごの内側を上のほうにグイっと持ち上げられるように鏡を見ながら練習してみてください、下というのは「舌根」です。舌の付け根や下あごの内側の奥の部分を下にグイっと下げてみます。こうすることで、喉の奥を上下に開けることができます。
ここまでは2次元的なイメージかもしれません。次に3次元的なお話です。上下に加えて、前後にも開けていただきたいのです。前というのは「お顔の前側」であり、後ろとは「後頭部」や「背中」とイメージしてもいいでしょう。息や声は前に出していくので、前に空間を広げます。それと同時に、自分の後ろ側の空間を後ろに引っ張られるかのように意識します。このように喉を開けるといっても前後、上下のあらゆる方向に広げていく意識を持ってみましょう。(♯β)