普通の人が聞こえない音を見ていくことは大変なことです。それがあなたの中ではっきりしていたら、いつか深い声として出てくる可能性があるでしょう。音の世界というのは、その音の中に入っていろんなことを経験していないと、漠然として終わってしまうのです。それを助けるためにも、基本に戻ることです。
日本人は声をきちんとつかんで出していないので、私はそこからやります。筆に墨をしっかりとつけておくということが必要です。声がよく出るというのは、筆に墨がたっぷりついているというふうに思っていた方がよいと思います。
よいところで、よい先生につけば、それが一番よいと考えていませんか。どこに行っても確かに何かは得られるでしょう。しかし、すべては材料にしかすぎないのです。そこを間違えてはいけません。