日本人の日本語における“自然な声”(一般の人の声)には、いろんな弱点があると言えます。特に欧米圏の言語を話す人々との大きな違いの原因となっているのは、高低アクセントと浅い発声ポジションで成り立つ日本語そのものの性質、そして日本人のコミュニケーションに対する考え方です。
たとえば、いい年齢をした女性が幼児のように甘えた声ではしゃいだ話し方をするなどといった、声への偏ったイメージづくりがあります。大人としてのよい声のイメージがもてないといってもよいでしょう。これは日本人のアイドルの歌やアニメの声などに象徴されます。
日本人の場合、声をぶつけあい主張し合うような風潮がなかったため、明瞭に断定的表現をさける傾向にあります。つまり、声にメリハリなどがあまり必要とされなかったのです。話し方も声もあいまいなものの方がよかったのですが、舞台はそれでは務まりません。