発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.ジラーレについて教えてください。

.「ジラーレ」とは、イタリア語で「曲げる」という意味です。高音域を発声するときに、うまく出せない声楽家志望の方に、よく言われる言葉です。「しっかりジラーレして」と。高音域の苦手な方や、どうしてもさらに高音域を出したい方は、顎を上げて斜め上に顔を向け、お腹から力まかせに声を突き上げるように出すことが多いのですが、それでは喉を傷めたり、聞き苦しい声になってしまいます。では、実際に「曲げる」とはどういうことかというと、お腹からまっすぐ上に声を出すのではなく、背中の方に上げてから、後頭部の辺りを通過したところで、前に向かって声を曲げるということです。この、上向きから前に曲げる場所は、頭の上だったり、軟口蓋だったりと、いろいろなやり方があるようです。私のおすすめは、頭の上を超えてからですが、絶対にというわけではありません。これは、イメージだけでトレーニングを続けていくので、不慣れな場合は、とても長いトレーニング期間が必要になるかもしれません。いずれにしろ、一朝一夕に修得できるものではないので、たゆまぬ努力が、必要になります。(♭Ξ)

 

.「曲がる、曲げる」というイタリア語の動詞で、声楽の基本的な技術ですが、とても習得が難しい技術です。私の師匠の一人であるメトロポリタン歌劇場パリオペラ座、ザルツブルグ音楽祭などで主役をやっていたテノール歌手は、世界で歌っていくためには「マスケラ」と「ジラーレ」の技術がなければいけないといっていました。むしろ技術としてはこれだけを極めれば声としては何とかなるとも言っていました。

簡単に言うならばストレートな声ではいけないということです。いろんな教えの中には、声のチェンジの場所でジラーレが必要と指導する人もいます。しかし、私の経験ではすべての音にジラーレが必要です。特に色濃くでるのが声のチェンジの位置でしょうか。これはジラーレの技術がわかる指導者の下で根気強く勉強するしかありません。

まずは自分の耳がジラーレを判断できるかどうかが重要です。一番わかりやすいのはパヴァロッティです。パヴァロッティの声はファの音で少し暗くなります。まずはこれを聴きとれるかどうかです。

文章で書くと誤解を生みそうなのですが、自分で練習してジラーレができていると思っているときはできていないことのほうが多いです。自分の近くでおこっているのはジラーレふうの音でジラーレではないことが多いです。身体からはなれた声を遠くへ飛ばす中でうまれてくるのがジラーレです。結果的に自分の耳で判断しづらいので指導者と共に地道なトレーニングが重要です。

逆にいうならば、それほど重要かつ、世界的な技術です。この技術の重要性は人種や国を問わないと思います。

(♭Σ)

 

.ジラーレは回る、曲がる、回転するといった意味のイタリア語で、声楽では「声を回す」という発声の技術を指します。もしジラーレなしで歌ったとしたら、声は直線的になり、特に高音域ではレガートで繋ぐことができません。感覚としては、声を回すというより「息を回す」という方がしっくりきます。息の対流に声が乗っていて、ジラーレでは対流している息の回転を増やすのです。ベルトコンベアーの速度が増すイメージに似ています。

またジラーレの状態としては、あくびをしているときが近いと思います。自然とあくびをしたときの口の開き方は十分ですし、咽頭も下がったままです。この咽頭が下がったまま発声できたらジラーレの感覚を得やすくなりますが、逆に咽頭が上がると喉周辺に力みが生じてしまい息を回せなくなってしまいます。慣れない中では喉に負担のかかる練習になるので、質問や疑問点をトレーナーと確認しながら進めるのが安全です。(♯α)

 

.ジラーレ(Girare)は、イタリア・オペラを歌うような声楽家にとっては必要不可欠な発声テクニックです。イタリア語の語源としては「回す」という意味です。一般的に高音域を出そうとすると、喉が絞まっていくような状態になり、叫び声のようになったり、ファルセットのように薄い声になったりというのがよくあるパターンだと思います。その部分について、首絞め状態を改善し、また、高音域でも薄い声にならないように改善してくれるテクニックが、このジラーレです。

声楽的な発声用語の意味合いとしては、中音域から高音域にかけて、一度奥まったような部分を通過させたうえで高音域で先細りしないような輝かしい音色として出せるような道筋を通す過程の部分を意味します。その際に、直線基調発声ではなく、回した感じ、曲げたような感じになることから、このような表現になるのだと思います。このテクニックについては、個人で行うのではなく、この指導ができるトレーナーのもとで時間をかけて確実にマスターすることをお勧めします。安易に自分で判断することは弊害を生みやすく、危険です。(♭Я)

 

.イタリア語でgirareとは回すとか曲げるという意味です。声楽用語で用いる場合は、声を出すときにただ直線的に真っ直ぐ出すのでは、ある程度の高さにくると、詰まりを感じたり、声に丸みがなかったりしてしまうため、声を目線もしくは、頭の上あたりで曲げる感覚を指導されます。

日本で誤解されがちなことは、ジラーレさえしてればいいのかということですが、本来の、身体で支えた声が出ていなければ、ジラーレをいくらやってもあまり効果を発揮しないように思います。

まず、発声の基礎的なことを23年くらいやって、ある程度体で支えた声が出るようになり、身体中に呼吸のための筋肉がついてきたら、この技法を意識するといいと思います。

練習方法は、まず口蓋をしっかり挙げてください。声が頭の頭頂部に抜けるイメージが直線的とするならば、ジラーレは頭蓋骨の上を通りおでこの方に90度に曲がっていき、目線の先に声が伸びていくような感覚です。このイメージで声を曲げて出していくことでジラーレの感覚がつかめると思います

くれぐれも、口蓋を上げることを忘れないでください。口蓋を上げることがたどたどしい場合は、まだジラーレをやる段階ではないのかもしれません。トレーナと相談してください。(♯β)

 

.ジラーレは、イタリア語です。girareと表記し「回す、向きなどを変える、巡る、道を曲がる」などの意味があります。やり方としては、まず腹圧、腰、下半身を使って息を上顎後方へ流します。その下から流した息を真上や後方ではなく、「回すように」前方へ流します。そして流した息の上に声が乗るような感じで声を発します。

このような発声をすることにより、声が効率よく綺麗に出ます。発音も明瞭になります。何しろ声にターボがかかっている状態のため、声量が増え、大編成のオーケストラの音量に埋もれることなく飛び出して観客の耳に届きます。正にクラシックの声楽、オペラをはじめとする歌の発声に最適なテクニックです。(♭й)

 

.声をまわす、回るという意味のイタリア語です。直線的な声ではなく、曲線的な声でレガートを意識しながら、声を身体の後ろ側から、後頭部をつたって、ひたいのあたりから前に出すようなイメージで声を回すことです。

口の中が上にあく、あくびなどのイメージに近いところです。習得には、息の流れが必要と考えるため、腹式呼吸と発声がしっかり連動し、息を回し、声が回るように、基礎の練習が大切になると思います。(♭Ц)

 

.あくまでイメージ的にですが、頭骨にはいくつもの穴が開いており、そこに膜があったり、神経、血管などが通っていますが、それらの中には頭声を生み出すための頭骨への入口となるものがあるとします。その中のとある穴をある曲線で音を通していくと、増幅が起こり、ついでジラーレと呼ばれる頭骨沿いに回転していく音が得られます。ジラーレに関しても歴史的に長い間理屈が分からないことではありましたが、それが存在している事は声楽家であれば知っています。現在は道筋を発見できたので、やり方を理解できれば誰もが綺麗な共鳴を得られるようになりました。個人差はありますが、声を入れる角度、回すイメージによって、うまく共鳴が得られます。まるでホルンのように音が回っていくのを実感することができるので面白いものです。(♭∀)