発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3094.オペラに興味がありますが、初心者にお勧めのものはありますか?

A.オペラに興味を持って聴きたいけれども、どのようなものを聴いたらよいのか最初からわかる人はあまりいないと思いますので、参考までにご紹介いたします。
単純に、時代が現代に近い作品ほどドラマティックな作品が多いと考えてよいと思います。一番古い作品は1600年頃に作られましたが、オペラとして今日でも上演するクオリティのものは、特にオペラ初心者の方にとっては、モーツアルトを一番古いと捉えてよいと思います。モーツアルトのオペラは軽妙な喜劇が多く、有名な3つの作品で、フィガロの結婚ドン・ジョヴァンニ魔笛、というオペラがありますので、お勧めいたします。クラシック音楽の様式や美しさなどを好む人にお勧めです。ドラマティックな要素の有る曲はあまりありませんが、「ドン・ジョヴァンニ」の最後のシーンなどは少しドラマティックな要素があります。
次に、ベルカントオペラというものがあり、モーツアルトの次の時代1700年後期から1800年前期あたりの時代の作品です。具体的な作曲家として、ロッシーニドニゼッティベッリーニという作曲家があげられます。これらの作曲家の作品の特徴は、「歌の旋律美」にもっとも力を入れている点です。レガート唱法を学ぶのに適している作品群です。ロッシーニのオペラでは、早口言葉なども学べるのではないかと思います。代表的な作品として、ロッシーニセビリアの理髪師」、ドニゼッティ愛の妙薬ベッリーニ清教徒」などがあります。
そして、ここからの時代の作品は徐々にドラマティックな要素が増えていきます。1800年代に活躍したヴェルディという作曲家のオペラは、旋律美もさることながら、ドラマテックな要素がさらに加わったものとなっています。前期の作品は、美しい旋律のものが多く、「ナブッコ」、「椿姫」、「イル・トロヴァトーレ(吟遊詩人)」などのオペラが有名です。次第にドラマティックなものになっていくものは後期に多く、「リゴレット」「アイーダ」「オテロシェークスピア作品のオセロのイタリア語読みでオテロ)」などの作品をお勧めします。さらに、時代を同じくしてドイツオペラのワーグナーのオペラも聴いてみるとよいと思います。ヴェルディのような美しさはありませんが、喋るように歌うことの勉強になります。ただし、ワーグナーのオペラは、内容が難しいため上級者用かと思います。
最後に、とてもドラマティックな作品群を紹介します。ヴェリズモ・オペラといわれる作品群です。ヴェルディ以前は題材が歴史的な格式高いものだったのに対して、徐々に「血なまぐさい」題材になってきます。とてもドラマティックがゆえに、楽譜上にも「叫ぶ」と書いてある箇所が多いので、シャウトの参考にもなるかと思います。代表的な作品としては、マスカーニ作曲「カヴァレリア・ルスティカーナ」、レオンカヴァッロ作曲「道化師」、プッチーニ作曲「トスカ」、プッチーニ作曲「蝶々夫人」、ジョルダーノ作曲「アンドレア・シェニエ」、チレア作曲「アドリアーナ・ルクブルール」などがあります。(♭∀)