Q.ヴォイトレのトレーナーは、体でみせる声の基準があるのですか。
A.私の会ってきた海外のヴォイストレーナーにも、いろんな声の人がいます。少なくとも私は、本人の一声でトレーニングの成果を示せない人のいうことは信じません。そこに能書きも理屈もいりません。声を出しているのですから。そのようにしてできあがっている体、感覚はあまりにしぜんですから、そう簡単に真似のしようもありません。
Q.声の判断にも好き嫌いは入りますか。 A.どんなよい声でも嫌いという人はいるでしょう。私はいつも学びたいなら、好き嫌いでなく、優れているかどうかでみるべきといってきました。私は少なくとも自らの声でそれを示してきたつもりです。 声の本質やその形成プロセスを示せる人はあまりいません。外国人のトレーナーになると、自分たちがしぜんと獲得してしまった声の形成プロセスを知りません。それゆえ、示せないのは、日本人にうまく指導できない原因の一つです。 Q.トレーナーの声の判断に疑問を抱くことはありますか。 A.この頃は、日本では、こういう分野でもけっこうな立場にある人が、声の本質については、全く理解することができていないことに気づかされ、私はいささかショックを覚えています。つまり、私なぞよりもステージの実績や経験のある人でも、初歩的な声の把握そのものができていないのです。 一方、日本のいろんなCDやDVDに入っているヴォーカルや役者、さらにトレーナーの声となっていて、どうしてこうも力がないのかと思うレベルなのです。一般の人となると、そういうことさえ気づかず、ヴォイトレを利用する人がほとんどです。それでは、効果など大してあがらないでしょう。一声聞いて、わかる耳を持つことの必要性を強く感じます。(♭)