A.日本語から歌唱に移行すると、どうしても避けられないのが音声の平板さです。音に立体的な響きがなく、ぺちゃっとした二次的な音、つまり奥行きや深さが足りないのです。私はあるイギリス人のおじいさんとお話をしたときに驚かされたのが、歌を芝居をやっているわけではない一般人のおじいさんが、とても深くていい響きで会話をされるのです。この人のみならず、このような人は本当にたくさんいて、美声でない人を探すほうが難しいくらい、みなさん深くていい響きをしています。私たち日本人も、この深さを少し歌唱に取り入れることで、深い響きを得ることができるでしょう。
まず上下は口蓋を上げる、そして横隔膜やお腹を下げる。そして前後は顔の前と、首や背中に引っ張りあう。そして左右は胸郭を両サイドに広げるようにして肺のひろがる容積を増やす。最終的に360度方向に自分を広げるようなイメージで、立体的なイメージを作ることができます。([E:#x266F]β)