A. 声質が暗くこもっている場合、こもっていることは改善しなければいけませんが、暗いことは、一概に否定する必要はありません。暗く落ち着いた声が、好まれることも、少なくないからです。ただ、明るい声が好きならば、そちらを目指してトレーニングしましょう。
声質が、暗くこもって響きが悪い場合、初心者ならば、顔の表情が暗く活気が無いと、声も暗くなります。これは、表情を無理に明るくすることで、かなり改善できます。
いろいろとトレーニングした結果、暗くこもっているのなら、チェックしてみましょう。口の中を空け過ぎていると、声はやはり暗くなります。そして、声を前に出す意識が弱いと、こもりがちな声になります。また、声を、胸や頭などに響かせようとして、かえってこもらせている場合もあります。
いずれにしても、声は、体の外に出すことが、大前提だということを、忘れないようにしましょう。昔はよく、「口角を上げて」と言われ、暗くこもって響きの悪い声に、特効薬のように使われていました。今は逆に、これが悪いことのように言われたりもしますが、試してみる価値は、十分にあります。([E:#x266D]Ξ)
A.体で音をとらえるトレーニングをしましょう。台詞のように体で音をとらえるのです。声の当たる場所、発声、音色を気にしすぎると陥りやすいです。端的に言えば発声を気にしすぎている人に起こりやすい現象といってもいいかもしれません。発声を考えるなと言っているわけではありません。音を体でとらえず、音そのものでとらえようとしすぎると声にとっての不都合が起きやすいのです。
例えば子音からその音程にいれるようトレーニングする、台詞をしゃべるように体から音程をとるなどのトレーニングを行うだけで効果ができる場合もあります。音程と発声というのはつながっていて、体でとらえた声は音程の真ん中をとらえやすいです。
スタッカートなどで短くても音程と発声を体でとらえる訓練なども重要です。問題が支えにある場合はゆっくりなレガートな曲を訓練するのも一つの方法です。懸案の問題があるときは、レガートなものは歌いづらいと思いますが、体と発声を結ぶには必要な課題だと思います。([E:#x266D]Σ)
A.「声がこもる」のは声質だと決めつけているようですが、声の出し方のせいでこもってしまうのです。声質が暗いのも原因ではありません。たとえ声質が明るくても、こもってしまう人はいます。その場合は明るい声でフラットしています。音程が低くなり、響きが悪いのは声質のせいではない、ということです。
まず、声がこもるのは、声が前に出ていないからです。声が前に出ないのは、息が流れていないからです。息が流れないとは、ようするに息が弱いのです。また、音の飛躍や高音域を歌うには、より息のスピードや息の送り方を増やすことが、ロングトーンや隣り合った音では安定した息を送ることが必要になります。それらを行うにも、息の弱い声ではエネルギー不足となり、音程に届かない=フラットする(音程が低くなる)のです。
解決のためには、呼吸や発声の基礎に立ち返り「声がこもる」ことを改善しましょう。それが結果として、声に響きが乗り音程も定まるという道筋につながります。
([E:#x266F]α)
A. これは主体的な見解なのか、客観的な見解なのかで、分かれる部分だと思います。つまり、主体的に聞いて(自分で声を出しながら聞いて)低く聞こえるということなのか、客観的に聞いて(録音した自分の声や、他人の声を聞いて)低く聞こえるということなのかによって、内容が変わります。
客観的に聞いて低く聞こえる場合、声を飲み過ぎてしまったり、体での準備がうまくできていない場合が考えられます。発音の位置や口の中の空間、体の準備をあいまいにならずにできているのかを確認しましょう。
一方、主観的に聞いて低く聞こえる場合についてです。まずは、自分自身に聞こえてくる声と、他人に聞こえる声には、聞こえ方に若干の違いがあります。歌の場合、自分自身が楽器であるため、骨や体を伝わって自分自身に聞こえてくる音と、空気の振動によって伝わる相手への聞こえ方は、音の高低も含めて若干の誤差があります。声質が暗くこもっているとのことですが、発音の位置に関して、意図的に口の奥の空間を広くし、普段よりも奥で発音しているのであれば、客観的には音程は低くなく聞こえていることが考えられます。もちろん、トレーニングを積んでいる人の場合です。
客観的に聞いても低い場合は、発音のポジションを前後でいろいろ試してみたり、声を変に飲み込みすぎていないかということや、正確な音程をとれているかを確認してみましょう。客観的に聞いて問題なく、主体的に聞いて低く感じる場合、誤差の可能性がありますので、響きなどはあまり自分自身で確認しすぎないことをお勧めします。響きは狙うものではなく、条件を整えた結果、授かることのできるものだと思っています。([E:#x266D]Я)
A.口蓋を上げる口の内側の筋肉と、顔の表面についている表情筋を鍛えることをお勧めします。「こもっている」、「音がフラットする」ということから考えられるのは、頭蓋骨の上の部分をしっかり引き上げられていないことが原因かと思います。まず口蓋ですが、とくに後ろの方の上あごの柔らかい部分を持ち上げるようにします。まずは自分の指先でこの部分を持ち上げてみてください。慣れていないとちょっと気持ち悪い感じ、吐きそうな感じになるかもしれません。あくびのときには誰でも引き上げられているので、持ちあがった状態のままいられるように数秒キープしてみます。息を吸うときに、びっくりして息を素早く飲むようなイメージで「ハッ!」という風に息を吸うのもいいかもしれません。このように口蓋が上がった状態で歌える様に訓練しましょう。
次に表情筋です。日本人はあまり表情筋を使わずに会話ができるので未発達な傾向にありますが唇を引き上げたり、唇を押し下げたり、顔を横に引っ張ったり、いろいろな方向に動かせるように訓練します。そのうえで口蓋を持ち上げるときに、頬骨や小鼻の横の筋肉も一緒に引き上げると、笑ったような顔になると思います。このフォームで歌えば、明るい音色が作れますし、音程の調整にも効果が出ると思います。([E:#x266F]β)
A.声質でなく、発声が悪い可能性が高いです。音程ははじめはあまり気にせずに、響きをよくしていくことを考えましょう。よい状態で声が出せるようにしましょう。共鳴の位置をまずハミングで確認します。口を軽く閉じて、低いところから上げていくと、びりびりと響く場所が、胸のあたりから歯茎、鼻の裏、頭の方へと抜けていくのが分かるでしょうか。
今度は母音で、共鳴の位置を探しながら発声をしてみます。少し弱めで構いません。特に中音から高音にかけて、声を頬骨のあたり(マスケラ)から頭の方に「クイッ」と抜くときが大切です。この時に腰の支えは下に引っ張ります。響きの感覚はわかっても実際に発声や歌になると声が出なくなる人の多くは、この腰の支えが弱いです。腰の支えをつけるにはsで息吐きのトレーニングをすることです。まずは弱めに息を吐いて自然な息の通り道を確認します。一定に息が吐けるように練習します。そして少しずつ強くできるようにしていきます。少しずつでも、強く長く一定に吐けるように。それをトレーニングとして日々やっていってください。([E:#x266D]∴)
A.実は自分の暗めの声が大好きだという人がいて、そういう人はあまり直す気がないところが根本の問題です。
暗いのも個性ですので否定はしませんが、自分で暗くこもっていると感じる声は、他人にはもっと暗く聞こえてているということです。
声がこもりがちの人がやるべきことは、今の共鳴について一旦捨てることです。つまり、自分の内側に音を響かせるのをやめることです。心配しなくても、これは後からまた取り入れればいいので、とりあえず、です。
そして、息を前に出すことに専念します。これは自分で出来ているつもりでも、足りない人が大半です。半分前に出して、半分響かせてなどとは考えない方が上達が早いです。思い切りよくやりましょう。
たとえば、投球フォームに合わせて声を出すようにすると上手く行きます。手からボールが離れる瞬間=息を吐く瞬間です。ボール=息をなるべく遠くまで飛ばすつもりで。これで体の使い方も掴めますし、声が体から離れて前に進み、殻を破った響きになります。([E:#x266F]∂)