A.発声法を理解することは多少時間がかかりますが、必死で勉強すれば声を出す原理はわかるようになると思います。しかし、理論を理解する能力があっても、実践できるかどうかの能力が足りない場合は声の出し方をわかるようにはならないという現実があります。体の機能を理解することはとても重要なことですが、それを実践出来るかどうかが一番重要です。実際にプロで活動している人の多くは、体の機能など知っている人は少ないことも事実です。しかし、いい声を出す感覚というものはそれぞれ持っていると思います。感覚の世界を、ことばで表現するにはとても難しいものです。例えば、日常で健康な人ほとんどが出せる、声、そのものを、左右の声帯を近づけてこの筋肉とこの筋肉を動かして、などと考えて出せるものでは有りません。これは考えてできることではなく、産声を上げたときに無意識にできるようになったことです。要は、方法に固執して混乱するよりも、声を出しながら試行錯誤のなかでよりよい声を探っていくしかありません。