発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q. 頭声と胸声とミックスボイスの練習法について教えてください。

A. 頭声・胸声については、いろいろな考え方、言葉の定義など、いくつかの問題があります。それはとりあえず触れないことにしておおまかな取り組み方を示してみます。
頭声とは、出している声が頭に響いている感じがする声で、通常これは声域の中の高音部になります。胸声はこれとは反対に、胸に響く感じがする声で、声域の低音部になります。喉が柔らかく声域の広い人は、低音部は胸に落ち、高音部は頭から出る感覚がうっすらとあるはずです。このような人は、低音域を、しっかり胸に響かせるように、あるいは、胸から出すつもりで続けていくと、少しずつ胸声が伸びていくでしょう。また、高音域を、頭に響かせるような、頭から出すようなつもりで練習を重ねていくと、頭声が伸びていきます。声が低めで低音を充実させたい人は胸声を、声が高めで高音を充実させたい人は頭声を、それぞれトレーニングすればよいのです。
ミックスボイスは、ポップス界では違うタイプの声を指すのかもしれませんが、スケールなどで地声に息を混ぜて弱めに出し、そのまま音程を上げて裏声に進み、裏声も弱めに出して、地声と裏声の質の差を、感じさせない声にしていくのが、お勧めの方法です。
(♭Ξ)

A.私が考えるミックスされた声と、最近の日本のポップスのミックスボイスの意味合いが違うようなので一概に言えないのですが、最近のポップスの傾向としてミックスボイス=強いファルセットで使われている方が多い気がします。例えば平井堅さんや森山直太郎さんのような感じです。これは単純にファルセットを強くだしたり、息を多めに流していくことで鍛えられていくと思います。
例えば、女性の生徒には胸声と頭声の境がなくなるようにしっかりと息を吐かせてトレーニングさせます。明らかに息の吐きすぎというくらいやらせます。他の方がきいたら息漏れしているというレベルまでです。喉で変に小細工しないように息を吐くだけで音階を低音から高音までださせます。これができてくると少しずつ息を調節していき最終的に声だけまでもっていきます。
イタリア人などのレッスンで胸声、頭声というくくりを聴いたことが私はありません。喉を絞めないで開けて音を流していけば勝手に低音も高音も変わらない響きと声質でいけるはずです。日本人の女性の歌い手さんは頭声と胸声を区別したがりますが本来は同じ流れでいけるものです。
男性にはその人が持つある一定の音域で音を少し暗くさせたり唇をすぼめさせたりして音を開けさせないようにすることはあります。これができないと声楽的なミックスボイスにはなりません。
パヴァロッティの師匠アリゴポーラはこういっています「声は開けたり閉じたりして歌わなければいけない」ただ口を開けっぱなしの声は「暴れ馬だ。プロの歌手の声は調教された馬でなければいけない」と。
閉じたり、暗くしたところからミックスされた音が生まれて高くても喉への負担が最小限の強い地声に近い高音が生まれてきます。
(♭Σ)

A.頭声だけとか、胸声だけの声は、それだけに響きを集中して出せばいいのですが、ミックスとなると難しいと思います。一例としては、自分が出せる、一番低い音から、一番高い音まで、「オ」でポルタメントのような発声をしてみるといいと思います。その時のポイントは、一番低い音は、胸を意識して、だんだんに頭声を意識して声を出してみることです。そうした中で、頭声と胸声を使っているポイントがあるはずです。それを意識して、何度か繰り返して「おー」と声を出してみてください。その、頭声、胸声を使っているポイントがどこかを探して、その音がわかったら、その音を、ロングトーンで発声してみます。何度か、発声してみて、ミックスボイスの感覚がなんとなくつかめたら、その音よりも、半音高くしてみたり、下げてみたりして、近い音からだんだんにミックスボイスで音域を広げてみるといいのではないでしょうか。はじめの、ミックスボイスの感覚をつかむことが、難しいかもしれませんが、「オー」で何度も低いところから、高い音まで出す発声をゆっくり、繰り返ししてみてください。つかみにくかったら、高い音から始めてもいいかもしれません。(♯Ω)

A.頭声と胸声とミックスボイスの練習法は、個々に合った練習をしなくてはいけません。頭声は、ざっくりいうと裏声をイメージして歌います。(男性は、ファルセットとは少し違いますので、ファルセットとは思わないで下さい。)始めは小さな声でいいので、柔らかく声を出す事を大切に発声して下さい。胸声は、文字通り胸の辺りから声が出るイメージを作り、日頃喋る場所で、喋る音域ぐらいから発声していきましょう。その時も、決して力まないで下さい。軽く、軽く声を出すイメージで。支えがとか、体感がとか意識しすぎると、体がいらないところに力が入ってしまって叫ぶように歌ってしまいますのでご注意を。
ミックスボイスは、同じ音域の音を、頭声と胸声でかわるがわる歌いながら、一番自然に声が変わりやすいところを見つける事です。その際には、とにかく喉の周りの力を抜いて、小さな声で良いので頭声での練習と同じく柔らかく声を出す事をお薦めします。
ミックスボイスを出すには、力みをとる事。これは一番大切。フレキシブルに声帯の周りの筋肉が動かないと、上手く使えません。そして、どの発声練習でも忘れてはならない事は、息をいつも流すこと。発声しているとき、少しでも息がとまるなぁとか、歌いずらいなぁと思ったら、そのまま歌わないで、呼吸法をやって下さい。そして、また発声する。やみくもに発声練習をしていても、変な癖が付くだけなので気をつけましょう。(♯Δ)

A.まず頭声は個人練習でも分かりやすく行える方法として、ハミングから声に移行する練習あります。口を開けたままのハミング「ン~」→声「ア」、または口を閉じたハミング「ン~」→声「Ma」、どちらでもやりやすい方を選び、高音域の単音でゆっくりと行ってください。ハミングも声も同じ音程のまま移行するわけですが、ハミングのポジションが低いと声に移行する際に音程のずり上げが生じます。そのような方は、ハミングのときに額に指の腹を当てて響きを感じる(響きを集める)ようにする、口の中により空間をつくる(歯は噛み合わせない)ことを意識して行ってみてください。胸声の練習は、同じことを低音域の単音で行います。
胸声の場合は、ハミングのときに胸(鎖骨の下あたり)に手のひらを当てて響きを感じながら行うと分かりやすいです。もしも手のひらで響きを感じ難い方は、ハミングのときに口の中の空間をなくす(歯を噛み合せる)ようにして行ってみてください。
ミックスボイスについては定義自体ができかねるため、練習方法の提示は差し控えさせて頂きます。(♯α)

A.男性は特にミックスボイスを使えないと高音は出せないので大事です。先ず高い音は喉の楽な、いわゆる薄っぺらい声で出せるように練習してください。高い音というと皆さん、腹式呼吸を意識して立派な声を出そうとしますが、返って喉を絞めたり、胸が力みがちになります。
薄っぺらい声といってもピンとこないかもしれませんが、とにかく喉に全く負担のない鼻腔にダイレクトに響いている感覚です。動物の鳴き声の真似などをすると近いのかもしれません。また、志村けんさんの「アイ~ン」も、ミックスボイスへの窓口です。(笑)子供のような軽い感覚の高い音を意識してください。
薄っぺらい高い音を出せるようになったら、今度は腹背筋の支えを下にそして外に広げながら且つ上半身に力みが起きないように意識して、呼気圧を高め頭蓋骨への共鳴を広げて高めていきます。よく言われる「背筋から頭の上を通過して前に呼吸と声が流れていく」感じです。この時、薄っぺらい高い音を出してるときの喉元・胸の状態より寸分でも力みが入ると間違いです。軟口蓋は自然に上がるのが理想かと思います。軟口蓋を上げようと頑張り過ぎて下顎以下に力みが入るケースが多いので。 (♭Д)

A.【頭声】口の中を縦に開き、息がえらの後ろを通るイメージを持ちます。声は顔面、または頭蓋骨に響いています。その時、喉はとても楽な状態です。どこで歌っているのか分からないくらい、喉に負担はありません。胸を広げ、体全体が響いている状態。深い息がはけるよう練習しましょう。ハミングのラインで喉に抵抗なく発声できているかどうか、試してみましょう。
【胸声】低音を胸に響かせて歌います。決して喉声と勘違いしないで下さい。声帯を薄く合わせて使います。響きも頭声とは違って深くなく、平たい感じですが、喉が痛いとか、声を張り上げる、などということはありません。話しているときの自然な声の状態を保てるように話し声に音を乗せてみましょう。
【ミックスボイス】胸声から頭声に移行する中音域を、響きを頭上まで持っていかず、鼻のあたりに集めて響かせます。「イー」「ヤー」「ニャー」等の言葉で前に前に声を持ってくるよう練習します。
(♯Å)

A.頭声というと高い場所で歌うイメージになりがちですが、声を出す出発点は下からです。身体づくりとして、体幹をしっかりさせること、胸郭は肩甲骨を寄せるように開き、首や肩、顔の表情は柔軟に動かせるようにじゅうぶんストレッチ等をして準備しましょう。
そして声を出す時、重心は低く、上半身はリラックスさせ、あくびをする時のように喉を開き、軟口蓋を高くします。軟口蓋を高くすることがつかみにくい場合は、例えばゆで卵を丸ごと口に入れるた感じなのですが、ハミングをして軟口蓋の上側の筋肉を良く使うようにすると分かりやすくなると思います。
実際に声を出す時、喉に力を入れて前方に押し出してはいけません。下から上に向かう噴水のようなイメージで、息を深く吸い、上に向かって呼吸に声を乗せて歌います。
また歌う事に必死になると身体や顔に力が入ってしまう方が多くいらっしゃいます。姿見のような鏡で身体ポジション、顔の表情、口の開け方などをチェックしながら歌うとよいでしょう。
胸声とミックスボイスについてはわかりかねます。(♯μ)

A.自分で「頭声」、「胸声」と区別して練習することは、あまり好ましいことではないと私は思います。「頭声」と「胸声」が自然と混ざり合って出て行く状態の発声方法が、いわゆる「ミックスボイス」と呼ばれる発声方法であると思いますので、「頭声」、「胸声」と使い分けているうちは、いつまで経ってもミックスできないと思います。
しかし、トレーナーとしては、どの位置で「胸声」から「頭声」に切り替わるのかを知っておくことは必要です。自分ひとりで練習しようとせず、ミックスボイスの指導ができるトレーナーのもとで、時間をかけてじっくり丁寧に練習することが、ミックスボイスを手に入れる最善の方法だと考えます。ですので、実践はレッスンで行っていただき、ここでは、ヒントになる情報のみ、いくつかお伝えします。
まずは、「浮かない声」になることが重要です。浮いた浅い声ではミックスできません。お腹の底から出ているような、身体とつながった声で中低音域が出せるようになることを心がけましょう。
口の開き方も重要なポイントです。口が横に開いてしまったり、あまり開かない状態では良い声は出ませんし、音域が上がるに連れて喉が上がってしまい、出しにくくなるばかりです。口を縦に開いた「オ」の状態をベースにすることに慣れましょう。
最初は「オ」の口をキープするだけでも辛いと思いますが、がんばって慣れましょう。さらに、高音域ではその「オ」の発音を、暗め・深めに発音することが必要になります。
ミックスボイスは最も難しい課題です。自分ひとりで判断せず、指導者の下、レッスンを重ねて身につけていくのが最も有効的な手段だと思います。(♭Я)

A.頭声、胸声、ミックスボイスで使う声帯の筋肉が違うといわれています。胸声のときより頭声のほうが、より後頭部を上に持ち上げるかのような感覚を必要としますし、胸声は胸の上側を前方に引っ張るような感覚が助けになるなど、感覚的に使う筋肉を区別するようにします。
胸声は、普段話している声に、咽頭の空間を少し広げ、口蓋を持ち上げ、音声をつくり、あとは息のスピードを増やしていくことで作っていけると思います。けして話してる声のままにしてはいけません。
頭声は、頭蓋骨を上に引っ張り上げる感覚や、後頭部で音をくるっと持ち上げる感覚(いわゆる英語のcover、イタリア語のgirare)などが助けになると思います。時々頭頂部が全く動かなかったり、動き方が胸声の動き方になってしまっている人がいますが、逆です。上の方に引っ張り上げるように動かしてください。
そして問題のミックスボイスですが、私は頭声のフォームから音の下降にしたがって徐々にフォームも下に下ろしていく方法でやっています。胸声のまま声を上向させると、喉も音も突っ張ってしまう方が非常に多く見受けられるからです。
それでは実際にどのように練習していけばよいでしょうか?先ず頭声は、あくびの要領で、息を「ハア~」と吐いて見てみてください。それに伴い、声をだして行きます。いわゆる裏声から入るとわかりやすいかもしれません。あくびで「ハー」ができましたら、そこでしっかりお腹で声を支えて、声に張りと充実を増やして、上顎に音を当てるようにだしていってください。
胸声は、胸の前を広げていくつもりで、いつも話している声を「アー」と出してみてください。ここで話し声と違うのは咽頭の位置です。話し声の時は咽頭内部の空間は狭く、音声もつぶれた、いかにも天井の低そうな音が出ていると思いますが、胸声、つまり楽音にしていくためには、咽頭内部と、口腔内を広げて共鳴スペースを確保して、声を出してみてください。
最後に、ミックスボイスです。色々なやり方があるとは思いますが、私が行っている頭声から下ろしていくやり方を紹介します。まずは頭声で音階を下降していきます。「ドシラソファミレドー」のこのぐらいでしたら胸声で出てしまう方もいるかもしれませんが、あえてわざと頭声のまま下降せます。これに慣れてくると、頭声用の筋肉が発達してきます。慣れてきたら、頭声のフォームのまま、声を下に落としながら胸声のポジションに近づけて発声していきます。これを繰り返して、いわゆる自分なりの良く声がなる場所を見つけて、ミックスボイスを作っていきます。(♯ё)