A.ことば、発音が、はっきりしないと指摘される場合は、滑舌が悪い場合と、声がこもっている場合があります。もちろん、両方とも当てはまる場合も少なくありませんが、いずれにせよ、それぞれの問題点を改善していく必要があります。
滑舌の改善は、発声自体の改善でも、ある程度解決はされます。高校生などの演劇部や放送部、あるいは応援団などが、部活の時間に大きな声で繰り返し取り組んでいた昔ながらの発音練習を、恥ずかしがらずに根気よく実施することが、もっとも簡単で、意外に効果の出る方法でしょう。(たとえば「声とことばのトレーニング帖」のP26~P33の課題などです。)
ことばの発音にかかわる顔回りの一連の筋肉の動きを、発音練習によって活性化し、強化し、機敏にしていくことが大切ですので、一週間に一度だけ長時間取り組むよりは、毎日こまめに実施していくことのほうが、達成感は少なくなりますが、効果が持続的になりやすく、より早めの上達が見込まれます。
一番の問題点は、恥ずかしくなく大きな声を出せる場所の確保だと思いますが、それほど長時間ではないので、ひとりカラオケなどの活用が、おすすめです。
もうひとつの問題点、こもった声の改善ですが、こちらは、滑舌の改善に比べると、それほど簡単には進まない人が多いようです。ひとことで言ってしまえば、声を前に出せばよいのですが、発声の癖や性格などの影響も少なくなく、なかなかひとすじなわでは解決できません。それでも、滑舌の改善トレーニングを通じて、ある程度は解消できるようです。(♭Ξ)
A.トレーニングという側面でいくとひたすら発声のトレーニングをおこなうことです。発音がクリアでない人の多くは声そのものの力が弱い人が多く、声が外にでないので発音もはっきりしないという人が多いです。
このような状態のはトレーニングで改善していくと思います。しかし中にはトレーニングよりも根本的な問題を改善する必要がある人もいます。例えば先天的に
・舌の裏にある舌小帯とよばれる筋が短い
・下顎が前に出すぎている
・メンタルの問題で声が出づらい
などです。
舌小帯が短いと受け口になりやすいといわれています。下顎が前にですぎている状態ですね。下顎前突入とも呼ばれる状態です。舌小帯が短いと舌たらずのようなしゃべり方になったり、声がこもりやすくなる傾向があります。この様な状態だと、簡易手術で舌小帯を切って長くしたり、専用のマウスピースなどで矯正するなどの治療があるようです。
外国語のなかでは巻き舌の発音がある場合がありますが舌小帯が短いと巻き舌がやりづらくなることもあるそうです。
トレーニングで多少の改善はあるでしょうが、根本から直そうと思ったときにはこのような違う側面からの方法も必要かと思います。(♭Σ)
A.多くの人に当てはまる要因として、口腔内が狭い、(口を開けないで話すので)口周りの筋肉が使われていない、ことが挙げられると思います。またこの状態だと息の流れが少なく喉で声を押してしまうので、さらに発音が不明瞭になりかねません。これらの理由から、まずは「しっかりと息を吐く」ことを行いましょう(呼吸の練習については割愛します)。一見、発音の明瞭化からはかけ離れるようにみえますが、息を吐かなければ声になりようがありません。その息をこれまでよりもスムーズにして、息の流れに声をのせていくのです。その次に、口腔内の空間を広げるトレーニングを行います。方法の一つとして、喉の奥と口をしっかり開けて無声で「ハッハッハッ」、次に状態を保ちながら有声で「ハッハッハッ」と交互に行います。母音部分を変えて「ホッ」や「ヘッ」でもよいです。ハ行(子音Hの発音)は喉に当てずに行えるので安全です。このように普段より口を開けて発音練習することで口周りの筋肉も発達していきます。(♯α)
A.人と会話する時、しっかり相手に何かを伝えようとしているでしょうか。心を開いて相手の目を見て、「伝える」意思があるでしょうか。意識を変えるだけでも、ずいぶんと変わってくるものだと思います。自信がなかったり、気持ちが引き気味になっていると、ことばは自然に出てきませんし、発音もはっきりしないものです。
また、滑舌について言うならば、最近の若者は、舌の筋肉をちゃんと使ってしゃべっていないように思います。だらしなく、何を言っているのかわからないような話し人です。きっとそんな話し人をする人は、顔の筋肉も使っていないのでしょう。
とにかくすべてが弛緩している感じがします。しっかりと口角を上げ、使うべき子音の時には舌の筋肉をしっかり使い、深く息を吸って堂々と声を出しましょう。すると自然にことばや発音がはっきりしてくるはずです。
日本語はきれいな言語だといわれています。美しい表現や、素敵な単語がたくさんあります。その日本語が退化していかないよう、しっかり正しく話すように心がけましょう。(♯Å)
A.ことばや発音がはっきりせず、何度も聞き返されたり、間違って認識されてしまったりする場合に考えられるのは、ことばを捌くための口の中があまりいい状態で使えていないことが考えられます。物理的な原因で発音しにくい場合、舌が長すぎたり、短すぎたり、顎の状態があまりよろしくないなどが考えられます。それについては、医学的な見地で、専門家の指導を仰ぐのがよいでしょう。そうではない場合、口を動かすことに慣れていないことが考えられます。そもそも、日本語という言語は、口をあまり開かない状態でなんとか喋れてしまう言語です。それゆえに、口があまり動かない状態ではことばがうまく捌けずに、近距離なら何とか伝わる状態であったとしても、遠距離や雑踏の中では伝わりにくくなってしまうことがあるのです。このような人たちは、まず、口を開くことに慣れるのが、第一段階として大事なことだと思います。腹話術のような状態では、相手にはモゴモゴ言っているようにしか聞こえません。口を開くことに慣れてきてから、次の段階として、呼吸のキャパシティを大きくしていくことや、遠くの相手に伝えるエネルギーを持つこと、届けるエネルギーを持つことを心がけるといいでしょう。(♭Я)
A.音声として言葉に必要な要素は「母音」と「子音」です。特に、日本語は、一音節が一つの子音と一つの母音で成り立っています。(英語などと比較してみると顕著でしょう。英語は一つの単語の中に子音がたくさん入っていますね)。そして、音として、母音が大変多くの要素を占めます。この、母音をしっかり鳴らすことがまず第一条件になります。
一音一音、お腹で支えられた音を目指しましょう。そのためには横隔膜の動きが必須になります。みぞおちのあたりに手を置いてみてください。この奥に横隔膜があります。笑ったり、咳をしたり、くしゃみをしたりしたときに、この部分がとても鋭角的な動きをすると思います。これをトレーニングして、一音に対して横隔膜も呼応して動かなければなりません。そうするととても張りのあるいい声が生まれてきます。
次に子音の扱いも、発音を明瞭にする役に立ちます。調音法をとりいてれて、ご自分の舌が、各子音の時にどのような位置に当たっているかを一度整理してみましょう。例えば「た」のTの子音の時に、舌先はどこにありますか。前歯の後ろ側にチョンとついていますね。これを息とともに、素早く下げます。この舌の圧力と、舌を下げるときの瞬間的な動きがポイントになります。また「ば」などは、両唇をしっかりくっつけて圧力をかけ、素早く離すときに明瞭な音が発せられます。一語一語分析して明瞭な発音を目指してみてください。(♯β)
A.技術的な面と、「伝える」という本質的な面という、二つにに分けて考えてみます。
まず、技術的には、発音に必要な口腔内の器官をきちんと知ることが必要です。母音を発声するときの舌の位置はどのようになっているか。よく「はっきり発音」というと唇の形で5つの母音を発声しようとする人が多いですが、それでは唇や顎に不自然な動きが生じるので、まずは舌の位置で母音を使い分けられるようになることから始めます。また、すべての子音についても口腔内でどのような運動がおこって音になるのかを一つ一つ感じながら確認します。
一人、「伝える」という点に着目して考えた場合、自分が歌う歌、テキストをどのような人に何を伝えたいのかということがあいまいになっている場合があるのではないかと思います。
歌うということは、聴衆を説得することに似ています。作曲家の意図する美しさ、作詞家の思いなど、歌い手は徹底的に一曲を分析し噛み砕いて自分の声で言葉で聴き手を説得するつもりで曲に向かいあうことが必要です。言いたいことがわからないから言葉がはっきりしない、相手に伝わらないのかもしれません。(♯ё)
A.私は、昔よくレッスンや人前で歌った際にその時師事しておりました先生から「ことば、発音が、はっきりしない」ということを言われ続けていました。
今思うと、体を使わず(使えず)喉だけで歌っていたことが原因かと思います。その他に、歌詞、言葉を読まず、話さず、つい「歌ってしまう」ということ、母音自体が不明瞭であることも原因ではないかと思います。
まずは、喉から下の筋肉をよく使い、喉から上はリラックスするということをイメージします。喉から上は普段話しするくらいの力加減がよいです。そして、みぞおちから胆田、腰の筋肉を長くゆっくり使い、上顎の柔らかいところへゆっくり息を送ります。そのときに母音をはっきり発音し、母音を繋げていきます。喉から下と上双人のバランスを意識します。力加減の喉から下:喉から上=9:1もしくは8:2くらいです。
あとは歌詞、テキスト、台本を自分の言葉として話せるようになるまで何回も音読することをおすすめします。
以上のことを意識するだけで、ことば、発音が少しでも明瞭になり、聴き手側に「生きていることば」として伝わるのではないかと思います。(♭й)