発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

Q.日本の歌が世界に通じないのは、なぜですか。☆

A.歌謡曲、ニューミュージック、J-POPS、演歌、邦楽はなぜ、時代や国を超えて、世界のスタンダードにならなかったのでしょうか。エスニック(日本語)の音楽だから、ではありません。音声の表現力でかなわないからです。これは、ジャンルとしてでは…

Q.「表現の成立」を知るには、どうすればよいですか。

A.モノトークとは、モノローグ(独白)を表現として成立させたもので、モノローグ(=独白)がダイアローグ(=対話)に対して用いられている点と区別するため、私がつくった造語です。 ある合宿で、私はレッスン2~3年目くらいの、まだ表現力の十分にな…

Q.研究所のレッスンが、歌手だけでなく、一般の人、役者、声優にそのまま通じているというのは、なぜですか。

A.学ぶべきことは、そのようなことです。 1.体と結びついた発声 (=声楽) ブレスヴォイストレーニングの声づくり 2.ことばと結びついた表現 (=モノトーク) ことば、せりふ(表現) 3.音楽と結びついた歌唱 (=カンツォーネ) フレーズ、リズム、…

Q.日本でも歌が比較できる環境があったのですか。☆

A.音楽著作権がまだ整っていなかった昭和の半ば頃までは、同じ曲を違うレコード会社専属の歌手同士、同じ時期に競作してヒットを競うこともありました。そういうなかで、私が覚えている最後の曲は「氷雨」でした。(日野美歌、佳山明生の歌唱)一方、フォ…

Q.歌詞で伝えることを学びたい。

A.歌詞がよいことは、原語と日本語との両方で学ぶための一つの大きな条件です。ヨーロピアンソングは、日本詞がメロディも踏まえてうまくつけられているものが多いのです。ただし、その頃の詞は、一音節(モーラ)に一音の日本語をあてていたため、原詞の…

Q.原語でなく、訳詞を使っているのはなぜですか。

A.原語のままではなく、訳詞という自分たちのことばがつくことが大切なのは、歌は生活しているところのことばで支えられているからです。器楽曲に対して、歌が決定的に有利なところは、次の二点です。 1.人間の声である 2.ことばで意味を具体化できる …

Q.スタンダード曲を使うのはなぜですか。

A.世界に数多くあるスタンダード曲とは、歌詞やストーリーは皆、知っている曲です。その上で歌うのなら、歌い手には楽器としての基盤と、音楽の演奏としての表現力が問われるのです。初物で、誰もやっていないからオリジナリティだ、などという安易な海千…

Q.日本にスタンダード曲はないのですか。☆

A.日本でも、邦楽や演歌にはたくさんの定番曲があります。ポップスやミュージカルも同じ曲を違う人がカバーして歌っています。こういうレベルアップしやすい状況はあったのですが、残念ながら、真似てしまうことが必ずしもプラスにはなっていないのです。…

Q.有名な曲がたくさんある英語曲より、ヨーロピアンソングを勧めているのは、どうしてですか。

A.日本人の英語熱もあって、ジャズは英語のまま歌われるのが多くなり、日本語の訳詞は、陳腐なものになりました。それに対し、カンツォーネやシャンソンは、日本人にはフランス語、イタリア語がわかる人が少ないせいもあってか、日本語で歌われるままで、…

Q.声の音楽性については、どう見ていますか。☆

A.音声を楽器レベルで使おうとするのが、ヴォイトレの目的です。歌詞やストーリーにあまりに重点がおかれると、音色とフレーズのデッサンという音楽的奏法への関心が失われます。ただでさえ、日本人は詞やことばに傾倒しやすいです。その上、欧米から近代…

Q.声から音楽、歌の器を大きくしたいのですが、アドバイスをください。☆

A.最初に、そういう人たちを目にして私がレッスンに取り入れたのは、大曲(声域や声量において、素人離れした歌唱力を要するもの、必要性を高めることができる)でした。「コンコーネ50」といった発声教本とともに、「イタリア歌曲集」、さらにナポリ民謡…

Q.イタリア語歌唱は「歌詞やストーリーや意味が、わからなくてよいどころか、わからないからいい」というのは、どういうことですか。

A.音色やフレーズ(節回し、メロディ、リズム)から推察し、感じていくことを求められるからです。それこそが演奏、音楽の世界なのです。一見、逆のようで同じこととしては、歌詞を全てわかりすぎているからよい、というのもあります。落語の定番の噺のよ…

Q.イタリア歌曲を使うメリットとは何ですか。

A.次のような面で外国語での歌唱をするとよいと思います。 1.日本人の感覚の問題を「切る」ことができる 2.日本人の体の問題を「切る」ことができる 3.西欧(英語など)の歌唱にストレートに入れる 4.クラシック、声楽の方法がそのまま使える 5.…

Q.カンツォーネの歌唱を使っているのは、なぜですか。

A.イタリアを使用すると、発音でなく音色に耳を傾けられるためです。初心者やJ-POPSの人には、声の世界によりストレートに入りやすくするために使えます。 1.ポップスの感覚(メロディ、リズムパターン、コード、進行展開、アレンジ、音響効果)で…

Q.英語よりもイタリア語を使うのは、なぜですか。

A.日本語はもとより、英語よりもイタリア語が発声に使いたいのには、いろいろな理由がありますが、第一に使いやすい、第二に意味がわからないことがとても好ましいのです。(♭)

Q.基礎のトレーニングとは何ですか。

A.表現のためのヴォイストレーニングなのに、ヴォイストレーニングそのものを目的とする人が日本人に多くなってきました。本当にそれでよいのかと考えるわけです。(♭)

Q.トレーニングであるからには、さまざまな目的、レベル、プロセスを踏まえて、考えていかなくてはならないのですか。

A.ざっとみても、私のところくる人の中には、次のような違いがあります。1~5について、自ら考えていく必要があります。☆ 1.体、のどの違い (民族の違い) 2.育ち、成長の違い (時代の違い) 3.言語、発声の違い (母語、リズムの違い) 4.日…

Q.音大生の歌唱をどうみますか。彼らにみる感覚と体づくりについては。

A.日本の音楽大学は、日本の近代歌唱の入り口となりました。体や感覚を国際的なレベルまで持っていく努力をして、発声をマスターしていくための実験としても、音大生が貢献したのは事実です。彼らが日本語での歌唱は難しくても、イタリア語の作品の方が声…

Q.どんなリスクも避けるべきではないですか。

A.今は、リスクを避け、のどに安全であることを第一とする人が多くなりました。それゆえ何ら声として鍛えられないのでは逆効果です。真の意味で、声のトレーニングなど眼中にない人が、トレーナーにも多くなったのは、そのトレーナーの声か、その人に教わ…

Q.ブレスヴォイストレーニングは、歌唱のためのトレーニングなのか。

A.私は当初、声そのものだけを鍛えるために『ブレスヴォイストレーニング』を提唱していました。ところが、歌手なのに、あまりに音楽的感覚が不足していることから、声を損ねてしまう人をみてきました。そこで、音楽的なフレージング感覚を吸収できる方法…

Q.トレーナーに対しての指導法は、どうなさっていますか。

A.私のところのトレーナーには、次のような観点を与えています。 a 自ら(トレーナー)の声やその成長プロセスのすべてを理想とし、絶対的な肯定をしないこと b 全く違うのどやタイプに対しての、自分の方法の限界を知り、他の方法や他のトレーナーにも可…

Q.『ブレスヴォイストレーニング』を、自己流で2~3年くらいやったけれど効果がなく、のどを痛めたと思いますが。

A.そういう人もいますが、なぜ声のように複雑で個人差の大きな問題を、単純に効果のあるなし、正誤の二極だけで考えるのかわかりません。第一に、この方法は、私独自のものではありません。人類(あるいは外国人、もしくは日本人の声をもつ人)の言語音声…

Q.声だけのトレーニングばかりするのは、よくないのですか。

A.私は、これまで絶えず、音楽や芝居などの表現に対して、声は10分の1にすぎないのだから、常に音への感覚を磨きつつ、トレーニングしなくてはいけない旨を述べてきました。一方的に無理に押しつけて、声やのどを痛めることには、最大の警告を繰り返し発…

Q.なぜ声優、役者や邦楽家がレッスンに来るようになったのですか。

A.日本人のヴォーカルの声はしだいに浅く、小さく生声になり、かつてのように、話す声、地の声でプロとわからなく、素人レベルになりつつあります。その第一の原因は、誰もが無理にハイトーンへ音域を伸ばしてきたからです。そういう要求に、すぐに対応し…

Q.声における最大の問題とは、何ですか。

A.今のスタンス(立ち位置)を知ることや目的(自分にとっての理想の声)をイメージすること、つまり始点と終点がとてもあいまいなことにあります。第三者であるトレーナーでも、その両方を定めきれない、というのは、それが始めからすぐにつかめるもので…

Q.「一声に十年」とは、どういうことですか。

A.声の弱い人が人並みのレベルを越えて、本当に一流の声と思われるような声になるには、その基礎だけで十年はかかるということです。陶芸の道でも人並みになるには十年、プロのスポーツ選手でも、十代(小・中学時代)の頃からおよそ十年かかります。つま…

Q.声は変えられるのですか。

A.私自身は声については、元が最低の部類でしたから、私の十年があれば、才能のある人は4~5年で到達できると考えたのです。そこで提唱したのが『ブレスヴォイストレーニング』でした。その後、二十年以上、第三者にも試した結果として、私だけでなく誰…

Q.適切なトレーニングの頻度はどのくらいですか。

A.目的、レベルやその人によるので即答できません。「一般的に」考えてみると、レッスンは週2~3回、トレーニングは毎日というのが理想でしょう。身体運動ですから、できるだけ休みを入れないことです。しかし、発声そのもののトレーニングは個人差があ…

Q.いつも声のよい状態でレッスンを行いたいのですが。

A.声を出していかなくてはわからないことも多いです。過労や使いすぎ、心身の状態の悪いときは、確かに休みも必要です。とはいえ、発声というのは、日常化しているがために休めるのも一苦労です。スポーツや楽器の練習などと簡単に比較できないのです。あ…

Q.ヴォイトレの深さとは、何でしょうか。

A.何よりも、ひと声をしっかりと出すことです。それは難しいことです。出すというだけなら、すでに誰でも出せているために、かえってトランペットなどよりも難しいのです。トランペットは「トランペットらしい」音しか出ないので、自分だけの音を導くのが…