発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.外国人との発声の違いは何ですか。

.外国人と一口に言っても、人種・民族・国家の違うさまざまな外国人の発声があるので、その違いもいろいろです。昔からよく言われているのは、日本人の声は浅い、あるいは、口先だけを使っているということでしょうか。特に英語圏の人々に比べれは、確かに浅く、口先だけに聞こえます。30年ほど前になりますが、まだオペラ歌手の勉強を始める前に、私は芸能山城組という日本人だけの合唱集団で、バリ島のケチャという合唱芸能?を模倣して、渋谷公会堂で演奏しました。なかなか楽しく充実した演奏ができたのですが、バリ島の人たちが演奏する本物のケチャの演奏の録音と、私たちの演奏を聴き比べたときの衝撃は、今でも忘れられません。練習のために、ずっとバリ島の人たちの録音を聴いていたので、「チャカチャカ・・・・・・」と軽快でエネルギッシュな合唱演奏を再現しているつもりだったのですが、われわれの公演の録音は、それとは似ても似つかない、重く暗いこもった声だったのです。もちろん、エネルギッシュではありましたが。(冷静にバリ島の録音を聴くと、現地の一人一人の男性の話し声がかなり甲高く細いことに気がつきました。ケチャには音程のしばりがなく、それぞれの好きな音程で「チャッチャッチャッ・」と、決められたリズムで声を出すので、自然に出しやすい声・音程を使うことになります。)

ですから、外国人・英語圏の人々よりも、浅いというよりは深くなく、こもり気味というのが一般的な日本人なのだろうと思います。 (♭Ξ)

 

.発声上の大きな違いは2点だとおもいます。1点目は

言葉を伸ばす文化かそうでないか。

日本語は「ヤッホー」や「おーい」などの掛け声や表現として伸ばさない限りは音をのばしません。例えば

「今朝7時に起きて、朝食にご飯とお味噌汁を食べて、8時に電車に乗って、渋谷から新宿に移動して…」のようにどこも伸ばしません。しいて言えば「朝食」の「う」を伸ばすように使うか使わないか位ですね。これが少なくともアルファベットを使う国では音を伸ばす習慣がとても多いです。日本語のアクセントは「強い」ではなく「高低」です。しかし外国語のアクセントは伸びることが多いので日本語が堪能な外国人の方でも「おーはようございまーす」みたいな言葉になるのはアクセントの違いがあるからなのです。音を伸ばさない文化の我々と音を伸ばす文化の外国人とでは音の感じ方捉え方が違うのは当然なのです。

2点目は日本語は子音が多く日本人自体も喉を高くして喋りたがる傾向にあります。喉が高いというとわかりづらいと思いますが典型的な声が「エレベーターなどでの案内の声」「焼き芋の宣伝カーから聞こえる声」「山手線の車内アナウンス」などでしょうか。少し鼻にかかったような声が喉に負担をかけない声だと思いがちになってしまうのでしょう。

しかし外国人の声のレベルからいくと日本人の声は子供近いのです。もっと低い声のポジションが外国人の日常だと思います。(♭Σ)

 

.外国人との発声の違いは、まずは言語の違いによる口の周りの筋肉の使い方、舌の使い方からくる口腔内の状態にあります。日本語は大きな母音があ、い、う、え、お の5つしかなく、それに子音を組み合わせて言葉を発音します。ですので、舌の動きがあんまりバリエーションがないため運動不足というべきでしょうか?! 英語もドイツ語もイタリア語も日本語よりたくさん母音も子音もありますので日本人が外国語を歌うと舌の動きが不自由になる傾向が強いです。口腔内も同じことで、口の奥にある軟口蓋が上がりきらないので発声で差が出ます。(♯Δ)

 

.外国人の中でもとりわけ欧米人と日本人との大きな違いは、身体の大きさや骨格(特に顔)の違い、母国語の発音の違い、だと感じます。身体の大きさに付随して、身体の出来上がり方(成長度合い)も違います。例えば1620歳の欧米人と30歳前後の日本人が並んでみたとき、圧倒的に彼らの方が身体が使えていてパワフルなのです。一方日本人の身体はまだ成長段階というところです。そして顔が大きい、頬骨が高いなども声を響かせやすい要素のひとつと言えます。

また、外国語は日本語に比べて圧倒的に子音を多く発音します。子音に助けられて母音も前に出てきやすくなることを踏まえると、外国人はその言語を日常的に使っているので(普段から発音の位置を整えているとも言えるので)発声的にも効率がよいです。しかし身体の使い方、発声のポジションこのどちらも積み重ねの努力によって補うことができますし、日本語の素晴らしさもありますので、ただの違いであってどちらが優れているかという話ではないと個人的には捉えています。(♯α)

 

.我々日本人と外国人(ここでは英語を話す欧米人ということにしましょう)では、骨格が違います。骨格がしっかりしていれば、声はより一層共鳴しますし、呼吸も深く長く使えます。筒の様な胴体や凹凸のある顔の骨格は、華奢な日本人にとってみればうらやましい限りです。

さらに、使っている言語の周波数が違います。日本語は舌を使わず、息もあまり出さずに喋れる言語です。しかし英語は舌や唇をたくさん使う言語ですし、また子音で終わる単語も多くありますから、息をたくさん使って話すのです。

ある本で読んだことがありますが、これらの違いは古くからの文化にも関係があるそうです。日本人は着物で生活していました。体に帯を巻きつけて締め付けていることで、呼吸は浅くなります。そして、女性について言えば、3歩下がって後ろを歩き、大声で話したり大きな口を人前であけたりすることをはしたないと言われてきました。控えめで奥ゆかしいことを善しとしてきましたので、これでは自分の体から十分な息を吐いて、はっきりしゃべるということは到底できません。こういった歴史も関係しているとその本には書いてありました。

また、文法の違いもあるようです。主語→述語→目的語、という仕組みの英語は、先に自分の意見をはっきり述べますが、日本語の場合は、主語→目的語(が延々と続いて)→述語に来たときにはなんとなく、口の中でもぞもぞ言っておしまい、なんてこともあります。自分の意見をはっきりのべず、話の終わりをはっきり告げない、これでは息が使いきれずに終わってしまいます。

まだまだ挙げればきりがありませんが、このようなことが欧米人と日本人の発声の違いのひとつであるのです。(♯Å)

 

.一言に「外国人」と言っても様々な人種がいますので、一概には言えませんが、特に「欧米人」と比べた場合、日本人の発声というのは「非常に浅いものである」と私は思います。では、「なぜ、日本語は浅くなってしまうのか?」ということですが、そもそもの違いは「言語」によるものです。その中で、影響を受けやすいのは、「母音の発音の位置」と「言葉のフレージング」、そして、「コミュニケーション」だと思います。

数ある言語の中で、発声上、もっとも適している言語はおそらくイタリア語だと思います。そのイタリア語に比べて、日本語の母音の発音の位置というのは、基本的に浅くて前の方にあります。もう一つ大事なこととしては、「呼吸の浅さ」ということが言えると思います。これは声楽を経験すればわかると思いますし、管楽器などを経験した人も、呼吸について指摘されることが多いのではないでしょうか?それほど、日本人というのは、「吸えない・吐けない」民族なのです。「大声を出したら迷惑だからダメ」という風習からか、欧米人と比べると、基本的な声のボリュームの違いを実感することが多いのではないでしょうか?彼らの方が、呼吸の運動をよく行えていると思います。 (♭Я)

 

.外国人と日本人の発声の違いを考えると、その骨格や、言語の特徴などから明らかな音声の差異があるのではないかと考えます。もちろん、外国人でもボイストレーニングをしている人としていない人では発声に関しては大きな違いが出てくると思います。

そこで、各国の言語や音声の違いに着目していただきますと、聞こえてくる音声の印象の違いを比較してみると、違いは明らかではないでしょうか?日本と近い国から見ていくと、韓国、中国ですが、大陸の声、骨格は日本とは大きく違うなと感じることがあります。日本人のような柔らかい喉、上下に動きやすい咽頭に比べて、もっと強いピンと張った音がする気がします。

学生のときに留学生同士で話していたときに、中国人の話し声が、一番うるさい留学生の中で話題になったこともありました。土地の広さ、国民性も影響するのでしょうか?中国、韓国の方の声は、日本人の声に比べて金属的な響きに感じます。それは楽器を見るとても興味深いことが分かります。その国の人の声に似せて、その国の民族楽器が作られてきたという説があります。例えば日本の伝統楽器の筝や三味線は弦は絹ですが、中国の古筝の弦は鉄でできています。

更に南下して、ベトナム、タイ、ミャンマーなどの東南アジアは、日本人よりも骨格の華奢な方が多いように思います。(これはヨーロッパも同様で、北欧の方々は壁のように大きい方が多く、南の方は比較的華奢に感じます)言語も、とても柔らかい音声が多く、鋭い音声よりも、音を飲み込むようなとても特徴的な母音さえあります。民族楽器奏者とも、よく共演しましたが、必ずマイクを通さないと聞こえない小さい音の楽器がほとんどです、改良されていないといこともありますが、それも含めて、彼らの発声や音声の好みに依拠しているのではないかと思います。ちなみに外国人に日本語のニュアンスを真似させると、大変平べったい「ペチャペチャ」という感じの音と指摘されたことがあります。

次に、西洋人と比較してみましょう。クラシックの歌手は、初心者は大抵イタリア語の曲から始めるのですが、イタリア語話者の音声を聞くと、日本語のそれとは全く違うことに驚かされます。マスケラと呼ばれる、顔の表面にとても響いており、音声も鋭く、喉に落てこもったような音声ではありません。頭蓋骨に振動したような響きを持っています。ある種、薄い響きのように感じます。母音は日本語のように口を立てに広げて、響きが喉に落ちることはなく、頭蓋骨の前上のほうに響き、日本語より上に響いているように感じます。口も横に開いているように感じます。

ドイツ語話者は、もっと深い音声のように感じます。イタリア語が母音がとても強調されて聞こえるのに比べ、ドイツ語の子音のストレスのかかり具合は、より強いと思われます。そのため子音の息で、母音が導かれるように発音されるため、息が強かったり、子音の影響を受けた音声が多いです。

フランス語に特徴的なのは尾母音と曖昧母音ではないでしょうか。鼻に掛けたまま発音し、けして音を開放させません。「アーン」「オーン」「エーン」の三種類がありますが、どれも鼻に掛けっぱなしです。曖昧母音も歌にはとても乗りにくく発声しにくい母音です。フランス人にいいオペラ歌手はいないというようなブラックジョークがあるくらい、フランス語に特徴的な発音があります。(♯β)

 

.まず外国人といいますのは、ここは日本ですので、日本人以外の国に居住している方々、出身の方々を指します。外国人と言いましても日本以外のアジア諸国、中東諸国、ヨーロッパ、北米、南米などさまざまな地域の方々がいます。

私はこれまでイタリア、ドイツなどヨーロッパの作品(オペラ、歌曲)に多く触れて来ました。そのため、今回はヨーロッパ人(主にイタリア)に焦点を絞り、日本人との発声の違いについて述べさせていただきます。

ヨーロッパなどの諸外国人と日本人は、まず骨格が違います。体格の大小はともかく、頭蓋骨の違いがあります。日本人は頭蓋骨の後頭部が比較的平らです。それに対し外国人は後頭部に膨らみ、広さがあります。

よく歌のアドバイスで「後ろを開けて」ということを耳にしますが、外国人はこの後頭部のおかげで日本人より自然と後ろが開く構造になっているのではないかと思います。日本人は後ろを開ける意識を高く持つ必要があります。

次に、母音の深さの違いが考えられます。特にウ(u)とオ(o)です。日本人は浅く、外国人は深いです。サッカー中継のブーイング(booまたはbuu)一つにしても違いが明確です。日本のブーイングは、ウの母音が浅く迫力が欠けるのに対し、ヨーロッパ諸国のブーイングは、uの母音が深く威圧感を感じます。ヨーロッパなど外国の歌でレッスンを受ける時によく注意を受けることは、ウ(u)、オ(o)の母音の深さです。

もう一つ考えられますことは、話す時の高さの違いです。日本語の言語、会話の高さが大概鼻より低いことに対し、諸外国の言語、会話の高さは鼻より高いところにあります。響きの高さの違いとも言うのでしょうか。よく「イタリア語が歌に適当な言語である」ということを耳にするのも、このことが当てはまると思います。

以上、骨格の違い、母音の深さの違い、言語の響きの高さの違い、この3点が外国人(主にヨーロッパ人)と日本人の発声の違いであり、外国の作品を勉強する際に特に気をつける点であると考えました。(♭й)