A. 低いところで太い声を出すと、発音ということからいうと明瞭ではなくなります。特に日本人は低く太い声を聞きなれていないから、尚さらです。何となく、イメージやものまねからの影響で、本人のは、はっきりしていると思います。発音明瞭に集中するのであれば、アナウンスを見習って、日本語の場合でしたら少し高めに軽く出した方がはっきりするわけです。当然彼もそれはできるはずです。
しかし、役者の仕事は、アナウンサーのように正確な発音で内容を伝えるだけではありません。感情を表現しなければいけないわけです。
歌唱の場合、その共鳴の音色を取るのか、発音の明瞭さを取るのかは、価値観にもよります。楽器のプレーであれば、ことばがないので音色です。現にオペラ歌手は、ハイトーンや響きを優先するために発音を若干、犠牲にしています。