A. 毎日、自分のよい声をなるべく朝から使えるようにしましょう。すると、一日中声も疲れませんし、よい声を出していると自分も元気になれるのです。声で気合いを入れたり、声でパワーを出している人もいますね。
そのためには、早く身体と心を目覚めさせることです。朝、起きたら深呼吸をして柔軟体操をします。首や顔の表情も動かしましょう。身体を動かしながら、息をゆっくりと大きめに長く吐きます。次に声を出して、喉や口のなかも起こします。何かを読むのもよいでしょう(読経、朗読など)。急に大声を出したり、ハードに歌ったりするのは、やめましょう。
これでふだんなら午後や夕方からしか、のってこない声が出せ、それだけよい声での一日が長く過ごせるのです。このように、呼吸や声のためによい習慣づけをすることが大切です。
私は、どこかでトレーニングに徹底して集中できる二~四年間をとることを勧めています。それに前後して十年です。そうでないと、本当の意味で、感覚はともかく身体は変わらないからです。(身体<声>づくりの期間に五千時間、音楽を入れるということで五千時間の、合計一万時間。でも、ヴォーカルに関しては、それだけの時間は関係ないかもしれません。)それまでに毎日、行なうのは、ブレス(身体)のトレーニング発声練習と、耳(感覚-音楽)のトレーニングです。(♭π)
A.声のためのトレーニングとしては、ハミングと、実際に声を出しての発声練習は、必須でお勧めです。ヴォイストレーニングを受けているのなら、そのレッスンでのメニュを、ぜひ日々取り組みましょう。
身体のトレーニングとしては、呼吸練習は必須です。実際に声を出す訳ではないので、つい日々続けるためのモチベーションが、上がりにくいとは思いますが、ぜひ毎日、実践しましょう。また、首、胸、腹のストレッチも、可能ならば毎日、それ以外の全身のストレッチも、余裕があれば取り組みましょう。
意外に見落とされがちなのが、喉と鼻の健康です。軽い咳や痰、鼻水や鼻づまりなどは、熱が平熱ならば、多くの人があまり気にならないかもしれませんが、発声にとってはとても大きな問題です。風邪などで荒れたら、もちろんなるべく早く完治させ、もし慢性化しているようなら、毎日のうがいや鼻うがいなどで、しっかり根治させましょう。
(♭Ξ)
A.声のためにすることは、実は声を出すだけではありません。歌い手にとっては自分の身体が楽器そのものなので、楽器をメンテナンスするのと同じように、身体の状態をメンテナンスしておくことはとても大切です。特別な場所(整体やマッサージなど)に行かなくても、自宅で日々できることはいろいろとあります。ストレッチはもちろん、皮膚を動かすことも大きな効果があります。
たとえば、頭皮を動かすことで歌い心地に何かしらの変化が出ます。一方で、喉から一番遠いはずの足裏の皮膚を動かすことでも同様の変化が出ます。全身の皮膚が一枚で繋がっているので、どこかの部位の皮膚を動かすことで、そこから離れた部位の皮膚にも影響を与えることになるのです。皮膚が動きやすくなれば、自ずと歌う際の身体も本来の働きを発揮しやすくなります。(♯α)
A.毎日の生活の中で、声のための技術向上につなげるという意味では、レッスンで教わったことを可能な限り時間を費やして練習し習熟することが望ましいと思います。レッスンの中だけでは時間に限りがあるため、問題解決の種をお伝えできたとしても、その技術を身につけるためには時間をかけて自分の中に落とし込んでいく必要があります。レッスンと練習はセットとして、日々の生活の中で少しでもレッスンで行った内容を再現することを心がけるとよいと思います。もちろんトレーナーに指摘されながら行うことと、自分自身で行うことでは、同じことにチャレンジしたとしても特に最初のうちは誤差が生じるものだと思います。しかし、このトライ&エラーを繰り返すことによって、最終的に自分一人でその技術を身につけること、すなわちヴォイストレーニングにおいて自立することに結びついていくと思います。他にも、できる限り心身ともに健康に気をつけて生活することは、身体や精神面が資本となる「声」においてはとても大切なことになります。心身ともに健康的に生活すること、練習時間を可能な限り確保して、レッスンで出しているような声を出す時間を少しでも長くすること、これらが日々声のために行えることだと思います。(♭Я)
A.毎日することは、ストレッチ、発声練習をおすすめします。日本語を使って生活をしていると、声のポジションが喉元に落ちて、歌にそぐわない声になっていることがあるので、そのポジション確認のために発声練習をします。また、毎日訓練してないと筋肉の衰えは早いので、呼吸筋の現状維持のためにも声を出したり負荷の高い曲を歌ったりすることをお勧めします。(♯β)
A.毎日のトレーニングということであれば、sの息吐きのトレーニングをおすすめします。まずは自然な息の強さで行います。舌の先を歯の裏側につけて、息を吐いていきます。自分の息の音をよく聞いて、一定の強さで吐ききれるようにします。吐き切ったらしばらくお腹はそのままにして、そのあと緩めます。このとき自然に息が入ってくるはずです。次にこれを強い息で行います。途中で弱くならないようにしましょう。もちろん強く長く同じ強さで吐き切るにはある程度のトレーニングが必要ですが、初心者の段階から、イメージでは「強く長く一定」を心がけてください。
歌い手の息のトレーニングは、ヴァイオリニストの運弓(弓を持つ右手の練習)のように基礎的で大切なものです。一定の強さ、ということは、本来重力の影響に逆らうものであり、不自然です。トレーニングによって後天的に獲得する技術だということを忘れないでください。なお、息を吐くときに、前のめりになりがちですが、そうではなく逆に広がる方向に身体を使います。手をグーにして、ジムにある機械を真似して「広げながら吐く」ということを意識してください。(♭∴)
A. 毎日のトレーニングは当然必要ですが、それ以前のことが最も大切です。すなわちバランスのよい食事、規則正しい生活、充分な睡眠。これらを心掛けて、機嫌よく日々を過ごしてください。当たり障りのない回答だと感じるかもしれませんが、結局のところ、健やかな生活がきちんと送れる人が強いです。特に寝不足は声の寿命を縮めます。睡眠時間を削って頑張っていることを自慢する人をしばしば見かけますが、大成しません。それは頑張っている自分が大好きなだけの自己満足に過ぎず、声やその技術のためにはならないのです。(♯∂)