A.カルーソは、アクートを最初に確立した人物ですが、呼吸法とフォーム(姿勢)に大きな秘訣があるようです。以下は、フランコテネッリ氏によるカルーソ発声の見解です。
「多くの録音から分かることだが、カルーソは一貫して持続したやや暗いテノールの声を持っている。彼はいわゆるvoix sombreをマスターしていた。以前テノールのDupreによって提唱されていた。彼は声を失ったが…
私はカルーソはアッポジョを最初に完全に実行しそれを成就し得た歌手だと思う。
私だけが彼の声やテクニックを崇拝しているわけではない。パバロッティやドミンゴその他の歌手達がインタビューでカルーソこそ唯一のテナーだと説いている。
彼は横隔膜呼吸を低い腹式呼吸を使った。彼が言うにはこの二つの呼吸はお互いに補い合う。本気で 固く信じていたことは正しい呼吸法はたった一つだ。
即ち腹式呼吸と横隔膜呼吸である。Low abdominal type of breathing 或いはpull -in
type of techniqueは 非難を二つの理由で耐えられる。(非難に値しない)
それは腹部の筋肉を弱くすると言われるがその主な理由は 呼気の時横隔膜はサポートを失うからだ。
吸気の時あるいは音をアタックする場合 彼はコルポデグロットあるいはフランス語でクーデグロットを奨励している。軽く咳をする事で人はその状態に到達できる。」
カルーソは、ドラマティックテノールのさきがけであるが、彼はバリトンのような喉を持っていたわけではありませんでした。彼の、テノールでありながら深みのある音色は、上記のように発声フォームを確立したことによって生まれたものであることが推測されます。実際、カルーソのデビュー当時は、蚊の鳴くような声だったという記述もあるようです。
(♭∀)