発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q. 口を縦に大きく開けようとすると、口に力が入ってしまいます。口に力が入らず、しっかりあけるにはどうしたらよいでしょうか。

.まず考えられるのは、口回りの筋肉等が硬く、開け慣れていないということでしょう。安全な方法としては、無理な力を入れずに、声は出さず口だけ縦に大きく開ける練習をすることです。これを何度も繰り返して、力を入れずに口が縦に大きく開けられるようになってから、声を出す練習に移行しましょう。また、少しリスクはともないますが、あえて力を入れて、口を縦に開ける練習を(これも声は出さずに)繰り返し行い、開け慣れてから、力を抜き気味にして口を縦に開けながら声を出す練習に取り組むというのも、悪くないでしょう。ただ、どちらの方法も、がむしゃらに実施してしまうと、顎関節症になることも少なくないので、充分に気をつけなければいけません。以前は、口は、口角を上げて横に開ける指導法が流行っていましたが、最近は口を縦に開ける指導法がブームのようになっています。太い声・深い声、アルトやバスらしい声を出すのには、簡便なアイテムではありますが、頼り過ぎて、顎関節症という恐ろしい落とし穴にはまらないように気をつけましょう。(♭Ξ)

 

.あくびの口をイメージするとよいと思います。あくびをするときは横に口が開くというより縦に開いていると思いますし、力も入っていません。あくびをしたときに感覚をつかむチャンスだと思って、意識してあくびをしてみてください。あくびをする時は、確かに見た目もかなり口が開いていると思いますが何より口の奥が開いています。大事なのは口の奥が開いていることです。口が見た目に開いていなくても中が開いていれば言葉もはっきりしますし、いい響きで歌えます。腹話術がいい例です。口が開いていなくても言葉がはっきりと聞こえます。縦に口が開いていることは大事なことですが、大きく開いていればよいということがイコールではありません。無理にしっかり口を開けようとすることで力が入ってしまうのは当然です。また、体を使って声が出ていないと口をあけるときに力が入ってしまいます。お腹に息が入っていること、また、歌うときに息を吐きすぎていないか、体を使って声が出せているかどうかもチェックしてみてください。(♯Ω)

 

.私の経験上縦にあけるという行為そのものは間違いではありませんが持って生まれた骨格で違いがあると思います。上下の前歯は上の前歯のほうが前にある方が正常とおっしゃっていました。

出っ歯という意味ではありません下顎のほうが後にあるというイメージでしょうか。

確かに上の前歯が前にある人はしぜんに顎が落としやすく口を縦にあけやすそうです。また顎を下げるという行為だけで顎が後に引けている方が多いです。

ちなみ私自身は上と下の歯が重なっています。なので顎を下げると力みやすいです。結果的にどうしているかというと顎をさげるよりも顎を引いているイメージです。こうすると外見は違いますが体の中の状態は同じになります。縦にあけているときよりも少し横開きな外見になりますが中の状態はおなじです。

たとえばテノール歌手でもベルゴンツィやカレーラスなどはとても顎を下げていますがドミンゴやクラウスは少し横開きに口をあけます。もし縦あけたほうがいいというアドバイスをもらっても力みやすい方は骨格の問題がある場合があるのでそれぞれの状態でどれくらいの角度がよりベターかをトレーナーと見つけていくのも必要かもしれません。(♭Σ)

 

.口に力を入れないようにするには、下顎を単純にだら~んと下に下げることが重要です。下顎に力が入っていると、どうしても口腔内の奥にある軟こう蓋が下がってしまいますので、口を縦にあけようとする意味がありません。口をしっかり開けるというところも、力むまで無理やり開ける必要は全くありません。下顎をだらり~んとする練習は、下顎だけを左右に動かす練習をしましょう。その時も、力まないで軽く動かす練習を心がけましょう。そして、下顎を左右に動かしながら、発声してみましょう。あ母音で歌うのが一番しぜんな口の形ではないでしょうか。どんな練習でも、軽く動かすとか、軽く口を開けるとかイメージの習慣をつけることが大切です。下顎を下げるときは、腹話術のお人形さんの口を想像してみてください。鯉のえさを食べるときの口とかの想像もお勧めです。もうひとつの練習方法は、舌をしっかり動かしながら発声します。ららららら~♪など五度の音程(ドミソミド)で歌う練習です。舌だけを動かして(ラ)の発音をしましょう。(♯Δ)

 

.口を開けるときに力が入る方は顎の力みが強いことが多いように見受けられます。ひとつの方法として、簡単な音型を使い、アオアやアエア、アオアエアなどの発音をつけて、顎を左右に動かしながら発声してみましょう。大きく動かす必要はなく、小刻みに軽やかに動かします。顎の力みが強い方は、最初は動かそうとしてもなかなか思うように動かないものですが、ぎこちない動きで構いませんのでぜひ実践してみてください。とにかく顎を動かすことで、常に力が入って固まったままで発声していたいつもの状態から、一歩進んだ別の状態に身を置くことができます。この、別の状態を体感することこそが、意に反する力みから脱するための大きな手立てとなるのです。このように顎を動かすことにより、顎に入るはずの力みを逃がすことができると、発声の最中に口の開き方も少しずつ柔軟になり、結果として顎を動かす前よりも口がよく開いていきます。(なお、顎関節症や何か痛みがある方は、事前にご相談ください。)(♯α)

 

.丁寧に単純に唇・頬の力を抜いたまま下顎を開けばできるはずだと思います。就寝時口を開けて寝ているときは、必ず口に力みなく開いてると思うので、いびきをかいて寝る真似をしてみるのもいいでしょう。まずは発声しない状態で口に力みなくしっかり縦に開ける練習をしましょう。そしてその状態を感覚として覚えてください。

しかしこの方のケースはおそらく、発声するときに口に力みが入るのではないでしょうか?「言葉を喋る」こととは社会への緊張と同義語のようなもので、自意識により身体に緊張がはしる方が普通と考えていいと思います。口だけじゃなく舌にも力みが入るのではないでしょうか?その改善策としてここで文字で示すことは難しいです。とにかく力みに敏感になって取り除いていくことです。小さい発声からチェックする方がいいと思います。相当根気が必要ですし、相当自分の身体と向き合う必要があります。時間をかけてじっくり取り組んでください。(♭Д)

 

.運動するとき、普段使っていない筋肉を使うと、力が入ってしまったり、十分に使えなくて、翌日筋肉痛になったりしますね。歌も同じで、普段から大きな口を開く習慣がなければ、それはなかなか開きづらいですし、力が入って思うようにならないこともあるでしょう。

運動するときには、まずストレッチをして、十分身体が温まってから始めますね。同じように発声するときも、声を出す前に、充分顔や身体のストレッチを行います。リップロールや巻き舌で口の周りの緊張をほぐします。それから、口から息を吸いながら喉の奥まで開くストレッチを数回繰り返します。発声するときには口をあくびをするときのようにポカンと開きますが、開きすぎも禁物。開きすぎると逆に喉の奥が閉まってしまいます。「ポカン」と開くことが重要です。この感覚を鏡を見ながら掴んでいけば、力まずに開口できるようになります。

また、よいにおいのものを嗅いだときや、くしゃみの直前なども、口の中、鼻筋が大きく開いていますので、そのときの感覚を思い出して使うとよいでしょう。(♯Å)

 

.口を縦に大きく開けようとして、くちびるを大きく開けていらしゃるのではないのでしょうか?くちびるを大きく開けようとするから、口に力が入ってしまうのです。唇を大きくきく開けるのではなく、舌と軟口蓋(上あご)の間の高さがあることが望ましいのです。イメージがつきにくいようでしたら、食べ物をたくさんほおばっていることを想像してみてください(あまりお行儀はよくないのですが・・・)。口の中にたくさんほおばっていてもくちびるを閉じて噛むことができます。この時、歯には噛むための力は入っていますが、くちびる自体力が入って疲れてしまうということはありませんよね。そして口の中は食べ物がたくさん入っていているので舌と軟口蓋(上あご)の間に高さがあります。このようにくちびるを大きく開けなくても口の中の空間を広くすることはできるのです。そして物をかむ時、それほど口には力が入っていませんよね?口が疲れるほど唇を大きく開けるのではなく、口の中の空間を縦に開けるようにしてみてください。(♯μ)

 

.無理に大きく開けようとすると、顎の下、すなわち喉頭の周りに力が入ると思います。しかし、静かに口を開き、あくびをする直前のようなところまで口を開いて頂きますと、あまり力が入らないと思います。この差は触ってみると一目瞭然ですね。なぜか初心者の方は、口を開けてくださいというと、この下顎や喉頭部分にものすごく圧力をかける方がいます。

これを避けるために、上記のように柔らかくあけていただいたり、上あごを上に引き上げるような感覚を使うときもあります。本当は構造上、上あごは固定されているのであがることはないのですが、お口の中で軟口蓋は引き上げることができます、ここがたいていの方が落ちてしまっていて、音声も非常に響きの少ない音になっていることがあります。下顎をやさしく下げつつ、口蓋を引き上げていくと、口に力が入らないと思います。

そして、準備運動としては、操り人形の口をパクパクするような動作がありますが、あれを力まないで、やってみて下顎を動かしてみるとよいでしょう。

ただし、口を閉じたほうがいい練習になるときもあります。高い音になってきたときに顎を落とすよりも口を閉じ気味にしたほうが高い音のポジション(顔の前半分側、頬骨より上に音がある感じ。これより奥、下には行きません)に入りやすいときもありますので気をつけて使い分けてください。(♯β)

 

.身体を効率よく使った発声には、自分のサイズにあった動きが前提であることをまず受け入れましょう。その上で、口を開ける時の動きを確認してみたいと思います。こめかみの下方に咬筋という筋肉があります。奥歯でものを咬む時に使う筋肉です。また、ほおづえをつく時に、ちょうど両手のひらが当たる部分でもあります。

まず、奥歯でものを咬む時のように咬筋にぎゅっと力を入れてみます。その後、その咬筋を緩めます。

どうでしょうか。その時に口が開きませんか?口を開けるという動作は、咬筋を緩めるときに起こります。したがって、口を開ける時には「力を入れる」のではなく「力を抜く」のです。

目的は口を開けることではなく、口を開けることによって母音や子音を作り感情を音にすることなので,必要以上にに大きくしっかり口を開けることにこだわらなくても大丈夫です。

また、自分のサイズ以上に口を大きく開けることは顎関節症などの原因にもなりえますので、どうか気をつけてください。たまには咬筋をマッサージしてあげるとよいですよ。大半の場合、こっていて痛いものです。(♯ё)

 

.まず、口に力が入ってしまうという状態は、歌う若しくは声を発する際の体のバランスが崩れているという事が考えられます。お腹(丹田の辺り)、背筋、下半身など体を使わない、使えないで喉、口だけで発声している可能性が高いです。あと、猫背、顎が突き出ているなど姿勢の悪さも関係あります。

体全体を使い、息をゆっくり送り、縦に伸びるイメージで発声してみましょう。お腹→下半身→背筋の順にゆっくり筋肉を使い、体の後側を使い息を送ります。その時口はあくびをする感じの開け具合で構いません。言葉を発する時に無理やり大きな声を出そうと思わず、普段の会話で使うくらいの力加減が丁度よいです。

姿勢は顎を少し引き、壁に後頭部、体の後ろ側全体(肩、腰、お尻、ふくらはぎ、踵)をくっつける感じが発声のしぜんな立ち姿です。この姿勢を意識することにより、体を使う事が容易になります。

このように体を使い息をゆっくり流すことにより喉、口がリラックスし、口に力入らず開けたり閉めたりすることができます。(♭й)