A.ほとんどのトレーナーが否定するようになったのは、大声トレーニングです。特に大声で高い声を出そうとすることです。のどで無理にそういう声をつくった人のなかには、ポリープになったり、声をこわした人もいます。あとで脱力したやり方を知って、自分は方法を間違えていたという人も多いのです。しかし、結果として、声を失ったままでなく、その人が声をそれなりにマスターできているのであれば、この無理、無駄なようなトレーニングが、実のところ、効いたのかもしれません。少なくとも、声を正しく使う前には、声を使う段階がいるのです。フルマラソンを走るまえに、ジョギングくらいの期間が必要なのはあたりまえでしょう。トレーナーとしては、大きく出すだけの大声は、非効率でリスクが大きいので、一般的には勧めません。少し走りすぎて痛めたから、やり方が間違っていたとして、やり方さえ正しければ、もっと楽に早くできたと思い込む人が多くて困ります。とにかくその人が今、よい声であるのなら、何らか役立ったのです。よい声でないのに、楽になったことだけでいいと思う人が多くて、これも困ります。本人が正しいといっても使えません。私は表現レベル、つまり心が息で伝わるものとして、声の話をしているのです。(♭)