A. 声域は、ある程度の範囲内において、決まっていますが、トレーニングによって変わることもあります。声域の広さや高音、低音の限界は、持って生まれた声帯を中心に、さまざまな条件で違います。また、単に声が届けばよいのと使えるのとは違います。どのレベルで使えるのを声域とするかというのでも、大きく判断が違ってくるでしょう。
普通の人の声域は、話し声では、3度から半オクターブ(欧米人は1オクターブほど)歌では1オクターブからあと半オクターブくらいといわれています。これにはかなりの個人差がありますが、歌うのには充分です。それよりも、自分の扱える声域内でどのくらいきめ細やかに歌えるかということが大切です。
声域を伸ばすことばかり考えている人が多いのですが、自分の持っている声域の声を、より豊かに表現に使えるようにすることを優先しましょう。(一般的には、低い方へ広げるのは難しいといわれています。)
変声期を過ぎた大人は、年齢とともに、声質は太く、低くなってくるものです。この微妙な声質の変化は、その人の声の味わいを増すともいえます。
日常の声は、年をとると男性は萎縮してやや高く、女性は女性ホルモン分泌低下で低くなり、老年になると、おじいさんもおばあさんも変わらない声域、声質となります。
歌で使える声域は、音響技術の使用で、とてもわかりにくくなりました。やっと出しているような高音域の声は、昔は使えませんでした。発声ではきちんと出せない声域を、現実に歌に使っている時代なのです。特に男性ヴォーカルは、かなり高くなりました。しかし、トレーニングでは、自分でコントロールできる範囲の声域で考えましょう。
どこまでが、歌に使える声なのかわかりにくいときは、テープに録音した自分の声を聞いてみるとよいでしょう。ヴォリュームがダウンしたり、ことばがうまく言えなくなり、雑になります。
声域を伸ばすことだけを目的としたトレーニングは、歌という最終目的からずれてしまうだけでなく、他のもっと優先すべき課題をなおざりにしたり、喉の状態を悪くしたままにする危険も伴います。本番では出るか出ないかわからない声は使いものにならないのです。
基本的なトレーニングを積み重ねて、声そのものの質、調整能力をつけることです。とはいえ、オペラはもちろん、原調でキーを下げない日本のミュージカル・合唱、ゴスペル、カバーコピーなど、声域が優先されることが多いのが現実です。こういう場合、私は声楽を一通り学ぶことを勧めています。(♭π)
A. 声域は人によってさまざまですが、あまり声を使っていない場合は、弱々しくある程度広いのが、通常のようです。一方、アマチュアコーラスなどで、日常的に声を使っている人は、それなりの音域に落ち着いている場合が多いようです。つまり、実際にコーラスで使う音域が、よく出るようになっています。
また、自分の話し声が気に入っている人は、話し声の音域がよく出るようになっていて、そこから離れた音域は、出しにくくなっている場合もあるようです。このように、実際にあまり声を使っていない場合は、広めの音域が残っていますが、気にいった声などを狭い音域で使い続けていると、使わない音域の部分の出し方ができなくなっていくことは、よくあるようです。
声域は、トレーニングで広げるというよりは、復活させる、思い出すと言ったほうが、正しいと思います。声域と年齢の関係は、使うか使わないかの問題でしょう。使わなければ衰えていってしまいますが、使い続ければ、それなりに衰えないようです。数年前にYouTubeで、90才代のイタリアオペラのテノール歌手が、立派にオペラアリアを歌っている動画がありました。使い続ければ、そう簡単には衰えないという証拠でしょう。(♭Ξ)
A. 年齢とともに声域が広がるかどうかは、客観的なデータがないので明言できませんが、年齢に関係なくトレーニングで声域は広がります。レッスンでの経験ですが、姿勢が崩れていたり、喉に力みが入ったり、その人固有の癖が邪魔をして声域を狭くしてしまっていることが多いです。ですが一方で、姿勢もよく、力みや余計な癖もない素直な声だったとしても、吐く息が弱いために声域を狭くしてしまっている場合もあります。いずれにしても、「身体の支え」を身につけ、しっかりと身体を使って発声をすることで、今までの声域よりも必ず広がります。
ですので、声域を広げるためのトレーニングというよりは、基礎的な練習を積み重ねることで自ずと声域が広がる、という捉え方がいいと思います。念のため付け加えますが、声帯によって高音・低音にも人それぞれの限度がありますので、不可能な音を目標設定したり、人と比較したりすることは避けてください。(♯α)
A. 何もしていない状態よりも、トレーニングを重ねていった方がある程度は声域が広がっていくと思います。ただし、個人差があるものですし、しゃべり声など、もともとの音域が低めな人が超高音域を出せるようになったり、その逆で、もともとが高めの声の人が超低音域を出せるようになるというわけではありません。自分の本来持っている声の声域を基準にして上下に少しずつ伸ばしていけるというようなつもりでいると、トレーニング前と比較して伸ばしていくことが可能になると思います。
なお、年齢の話が出ていますが、一般的にはトレーニングをせずに放置した状態を続けていると、やはり筋肉の働きが影響しますので若いころよりも音域の幅は狭まっていくと思います。アンチエイジングの一環として、自分の身体のメンテナンスの意味でもトレーニングを習慣づけている方が衰えは緩やかになりますし、改善の方向に進みやすくなると思います。なお、変声期の男の子の場合、無理に高音域を出そうとしないように注意しましょう。むしろ無理せず出すような乱暴に出さない方法を見つける時期にするとよいでしょう。音域を伸ばすのは変声期が落ち着いてきてからで充分です。(♭Я)
A. トレーニングである程度までは広がると思います。指導していると、年齢とともに低い声が充実してくる人、高い声が元々出やすい方だと高い声がより伸びてくる人、高い音が苦手だけどトレーニングしているとどんどん出るようになる方など、いろんなタイプがいらっしゃると思います。
私が教えてきた経験ですと、女性であれば、どんなに高い声が苦手とおっしゃる方でも、数年の適切なトレーニングを経るとB♭5までは出るようになります。男性は高い音域が出やすくなり、女性は低い音域が増えてくるというような話もあります。ホルモンの変化のせいなのでしょうか。
自分で、リミットをかけてしまっていて、ここまでしか出ないと思い込んでいる方もいるので、そのような場合は、しっかり適切なトレーニングをしていくことが重要かと思います。私自身も、ソプラノだという意識から低い音は出ないと勝手に思いこんでいましたが、年齢とともに低い声も出るようになってきました。(♯β)
A.声域は確かにトレーニングで広げることができます。ただし、「高音を無理に出す練習」ではなく、正しい発声メカニズムを理解し、喉や舌、軟口蓋などが緊張しすぎないようにすることが前提です。特に重要なのは呼吸と共鳴のコントロールで、息を押し込まずに支えを感じながら声を「乗せる」感覚を身につけること。これにより、地声と裏声の橋渡し(ミックスヴォイス)が自然になり、結果的に声域が拡張します。基本は息を吐くトレーニングを地道に積み重ねる、ということです。
年齢による変化については、若年期から中年期にかけて声帯が成熟し、共鳴腔のコントロールが向上するため、むしろ安定して広がる場合もあります。一方で、加齢に伴う筋力低下や乾燥により声域が狭まることもあります。要するに「年齢」よりも「使い方」です。正しいトレーニングを継続すれば、何歳からでも声は成長し続けます。それが人間の声の神秘であり、芸術の喜びです。(♭∴)
A. 訓練次第で広がりますし、加齢により狭まることもあります。
声域の下限は持っている楽器で決まります。つまり声帯の長さです。しかし多くの人が、声帯の長さを最大限活かした声を出せていません。低い声を出すためには、硬くしないことが最も重要です。余計な力みを手放すことができたら、もう何音か下方への音域拡張が可能となります。
上方については、いかに声帯をしなやかに引っ張ることができるかと、ほかの筋肉が最適なアシストを行えるかで大幅に声域の拡張が見込めます。長い声帯の持ち主であっても、よく訓練すれば高音域が使えますので、上限は使い方次第で変わってきます。
声帯は筋肉ですので、基本的に加齢によって衰えます。そうすると、若いころに出せていた声が徐々に失われてきます。
ただし、ずっと訓練を続けていると衰えの幅は少しで済みます。筋肉は裏切らないのです。(♯∂)