発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q2567.曲をアレンジして歌うことについて、どう思われますか。

A.同じ曲を、何人ものアーティストが歌うことはよくありますね。これは朗読作品や落語でも同じことが言えます。
本来のその曲のアーティストではなく、違う人が歌っても、まずは作詞家、作曲家の意図を読み取ることが大切です。意図を読み取り、その世界を理解し、その曲の内容を把握します。そのうえで、自分なりの解釈や歌い方、アレンジなどを決めていきます。したがって同じ曲であっても、違う曲になることはあり得るのです。歌い手の感じ方によって、歌の表現も変わってくるのです。

 例えば宮沢賢治の「雨にも負けず」という詩があります。この作品も、朗読者によって感じ方、聞こえ方が違ってきます。おおすじでは同じなのですが、やはりその人の技量や個性の違いが出てくるのです。
落語でも同じ噺を何人もの方が演じています。しかしこれはお客さんにとって迷惑なことかといったら、そうではないのです。同じ噺を違う噺家で聞くという楽しみを、落語のお客さんは持っているのです。
一字一句同じに話すということはありませが、話の内容は同じなのです。そしてその方が、だれに教えてもらったか、また噺の流派の違いによっても印象は変わってきます。この師匠に教えてもらったから、その師匠のいいクセを受け継いでいる弟子もいれば、よりアレンジを加えて自分の個性を全面的に出していく方もいます。
同じ話を何十人かの噺家さんで聞き比べてみるのも勉強になると思います。