発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q2699.声域が狭いのですが、どうすればよいですか。

A.声域が狭いと悩んでいる生徒さんは、意外に多いようです。確かに広いほうがよいのですが、実際に声域の狭い生徒さんには、いくつか共通点が有ります。
まず、声のよい、あるいは立派な声の生徒さんが、少なくないということです。
また、内気な、あるいは、恥ずかしがりやの生徒さんも、多くみうけられます。
前者のタイプは、よい声・立派な声の出せる声域が狭いのですが、声域自体が狭いと勘違いしていることが多いようです。現実問題として、よい・立派な声の出せる声域ばかり強化されてしまい、それ以外の声域の筋力が極端に弱体化していることもよくあるようです。
明るく前向きで、恥ずかしがらない初心者の生徒さんのほとんどは、声は立派でも綺麗でもありませんが、広い声域で、楽々と声を出せることがほとんどです。
後者のタイプは、日常的に、控えめな声の生活をしているためだと思われますが、中音域以外の筋力が衰えていて、やはり声にならないようです。まずは、こころを解放して、どんなに変な、あるいは小さな声でもよいので、高い声・低い声を出してみることです。
声さえ出せれば、あとは、それを磨き、鍛えていくことができるのですから。
では、実際に、話し声をトレーニングとして活用するには、どんな方法があるのでしょうか?
まずは、響きを常に意識して、声を出すという方法です。例えば、声をいつも額の前あたりに飛ばすようにといわれているのなら、話し声も、額の前に飛ばすつもりで。また、頭の上の空間に響かせるようにといわれているのなら、話し声も頭の上の空間に響かせるつもりで。あるいは、胸からまっすぐ前の空間に放射するように指摘されているのなら、話すときも、胸の真ん中に口が付いているようなつもりで、等等。声を響かせるポイントを、話し声のときも同じように意識し続けるという方法です。
もうひとつは、口の中の空け方に関するものです。
もっと喉を開けてとか、軟口蓋を高く広げるようにとか、舌が上がらないようにとか、奥歯のあたりを広めに等。歌うときだけ意識していても、なかなか身に付けるのは大変ですが、話をするときも意識し続けると、意外に早くできるようになるものです。ただし、そのときに出てくる話し声は、日本語としては、なかなか特殊なものになってしまうのは、想像がつくと思います。それでも、それによって得られる発声法としての成果は、かなり魅力的なものになるはずです。(♭Ξ)