Ａ．誰しもいろいろなことを同時に行なうことは難しいことです。プロでさえそういうものです。同時に行なうのではなく、分けてひとつひとつ行なっていきましょう。
たとえばピアノの初心者が楽譜を見て、即座に弾けるかというと、そんなことはありません。弾けないはずです。まず右手の練習をして、それから左手の練習をします。それぞれの手で弾けるようになったら、両手で弾いてみます。それでもなかなかうまく弾けないと思います。そこでもう一度、片手ずつ弾く練習を繰り返します。そして両手で合わせます。この繰り返しです。いずれ即座に弾けるようになってくると思いますが、最初はこんなものです。
そしてこれはピアノに限らず、どんなことにも言えることです。歌の場合でも、リズムを取ったり、音程を正したり、気持ちを込めたり、発声を意識したり、すべてを同時に行なうことはできません。ひとつひとつの課題をピアノの例で説明したように繰り返し行なっていくしかないのです。繰り返し行なっていき、体に覚え込ませていくのです。体に覚え込ませてしまえば、考える必要がなくなりますから、次の課題に集中することができます。何回も何回も反復練習を行なっていき、頭で考えなくても体が勝手に動いてしまうところまで練習することが大切です。
ですから同時にできないことを悔やんだりするのではなく、それは当たり前のことなんだと考えて、ひとつひとつの課題に集中して取り組んでいきましょう。なかなか大きな変化は起こらないかもしれませんし、同時に一気にやることよりも時間がかかることでしょう。しかしこれ以外の王道はないのです。頑張ってこつこつ練習していきましょう。
